株式会社BlanketKAIGO HR FARM2026年卒の就活で重視される「社風」から考える、介護・福祉の採用のヒント

2026年卒の就活で重視される「社風」から考える、介護・福祉の採用のヒント

公開日:2026/01/05 更新日:2026/01/05

介護・福祉の人事・組織づくりを支援するコンサルタント・太田が、話題のニュースやトレンドから、現場で役立つヒントを読み解く連載コラム。今回の“ひとさじ”は、2026年卒が重視する社風や価値観をもとに、介護・福祉の現場が採用でその良さをどう伝えていくかを考えます。


2026年卒として就職活動を行った大学生等を対象にした、リクルートマネジメントソリューションズの調査(※)で、学生が「働く上で重視したい社風」に関する結果が公表されました。

上位に挙がったのは、「相互の思いやりとあたたかさ」「オープンなコミュニケーション」「強い連帯感とチームワーク」といった項目です。成果や競争を前面に出す組織像よりも、人との関係性や安心感を大切にしたいという意識が、より明確に表れている結果といえます。

一回り前の世代(2014年卒)と比べると、「理想に向かう情熱」や「変革」「新しい価値の創造」といった要素は相対的に支持が弱まり、協調や親和を重んじる組織観が広がっています。

就職活動において、「どれだけ成長できるか」「成果を出せる環境か」といった軸に加えて、「無理なく働き続けられるか」「人間関係に不安がないか」という視点が、より重視されるようになってきているようです。

(※)リクルートマネジメントソリューションズ「2026年卒 就職活動に関する調査結果

学生が職場選びで見ているポイントの変化

介護・福祉の仕事は、社会的意義や専門性、やりがいといった側面が語られることの多い仕事です。

一方で、今回の調査結果を見ていると、学生が職場選びの際に注目しているポイントは、少しずつ変化してきていることが分かります。仕事内容そのものへの関心は前提としつつも、「その仕事を、どんな人たちと、どんな雰囲気の中で続けていくのか」を丁寧に見極めようとする姿勢が強まっています

安心して相談できる相手がいるか、意見を伝えやすい空気があるか、チームとして支え合える感覚があるか。こうした点が、「働き続けられるかどうか」を判断する材料になっています。

特に、入職後すぐの時期だけでなく、その先の数年間をどう過ごせるかを意識する学生にとっては、職場の人間関係や日常のコミュニケーションの質が、想像以上に重要な意味を持つようになっています。

応募のきっかけから見える「距離感」の変化

調査では、企業に応募するきっかけとして「興味のある仕事・職種」が引き続き最多である一方、「勤務地」「知人の勧め」「先輩社員の紹介」「斡旋・リクルーター」といった項目の選択率が上昇しています。これは、企業が発信する情報だけでなく、身近な人の声や実体験が、学生の判断に影響を与える場面が増えていることを示しています。

企業説明会や採用サイトの情報だけでなく、「実際に働いている人はどう感じているのか」「現場の空気は自分に合いそうか」といった点を重視する学生が増えているともいえます。

介護・福祉分野の採用においても、説明会資料や求人票の内容に加え、現場職員の言葉や表情が伝わる情報が、学生の関心を左右する要素になりつつあります。

介護・福祉の職場がもともと持っている強み

介護・福祉の現場には、今回の調査で重視された価値観と親和性の高い要素が、もともと多くあります。

日々の業務はチームで協力しながら進められ、利用者や家族との関わりの中で、相手の立場を考える姿勢が自然と求められます。また、困ったときに声を掛け合ったり、経験の浅い職員をフォローしたりする関係性が、現場の中で築かれている事業所も少なくありません。

こうした日常的なやり取りは、「思いやり」「あたたかさ」「チームワーク」といった、学生が重視する社風と重なります。

ただし、現場ではそれが当たり前になっているため、採用の場面では十分に言葉にされず、外部に伝わりにくくなっているケースも見受けられます

「当たり前」になっている良さをどう伝えるか

学生側から見ると、介護・福祉の仕事は「忙しそう」「大変そう」という印象が先に立ちやすい仕事でもあります。

そのため、職場の人間関係や支え合いの文化といった部分が、採用情報の中で埋もれてしまうことがあります。

採用活動では、制度や待遇の説明にとどまらず、日々の現場でどのような声かけや関わりが行われているのか、困ったときに自然と頼れる相手がいるのか、チームの中で役割をどう分け合いながら仕事を進めているのかといった点を、具体的なエピソードや場面を交えて伝えていくことが大切になってきます。

こうした情報は、学生が「自分がその職場で働く姿」を具体的に思い描く手がかりになります。

採用の場面で意識したい伝え方の工夫

今回の調査結果を踏まえると、介護・福祉の採用活動では、次のような点を意識することが重要になりそうです。

・仕事内容や制度の説明だけでなく、職場の雰囲気や人間関係が伝わる情報を意識的に盛り込む
・現場職員の声や具体的なエピソードを通じて、どのような関係性の中で仕事が進められているのかが想像できるようにする
・見学や交流の機会を通じて、学生が職場を身近に感じられる接点を用意する

特別な仕掛けや演出を用意しなくても、職場の様子や日常の関わりを丁寧に伝えていくことで、学生の受け止め方は少しずつ変わっていきます

社風は日々の積み重ねの中にある

社風は、理念やスローガンだけで形づくられるものではありません。日々の声かけや相談のしやすさ、困ったときに自然と助け合う行動の積み重ねが、職場の雰囲気としてにじみ出てきます。

今回の調査結果は、介護・福祉の現場がすでに持っている良さを、あらためて見直すヒントにもなります。

採用の場面でも、背伸びをした打ち出し方ではなく、普段の職場の姿をどう伝えるかを考えてみることが、これからの人材確保につながっていくのではないでしょうか。


介護・福祉における新卒の傾向や、27年卒に向けた採用戦略はこちらの記事で詳しく説明しています。あわせてご覧ください。

【この記事を書いた人】
太田 高貴
株式会社Blanket採用コンサルタント / 社会福祉士 / 一般社団法人総合経営管理協会 認定採用コンサルタント

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