株式会社BlanketKAIGO HR FARM育成就労制度でどう変わる?分野別受け入れ上限案から考える介護人材確保のこれから

育成就労制度でどう変わる?分野別受け入れ上限案から考える介護人材確保のこれから

公開日:2026/01/19 更新日:2026/01/19

介護・福祉の人事・組織づくりを支援するコンサルタント・太田が、話題のニュースやトレンドから、現場で役立つヒントを読み解く連載コラム。今回の“ひとさじ”は、2027年開始予定の「育成就労制度」に注目し、分野別の受け入れ上限案をもとに、介護現場の人材確保と受け入れのあり方を考えます。


法務省は、昨年12月に開催された有識者会議において、育成就労制度と特定技能制度について、分野別の運用方針(案)と受け入れ見込み数(案)を示しました。育成就労制度は、現在の技能実習制度に代わる新たな在留資格として、2027年4月の開始が予定されています

今回示された資料では、介護を含む19分野について、今後どの程度の外国人材を受け入れることを想定しているのかが、具体的な数字とともに整理されました。分野ごとの受け入れ規模が明らかになったことで、制度全体の説明としてだけでなく、自分たちの現場とどう関わってくるのかを考えやすくなってきたように感じられます。

人手の確保や職員の定着に頭を悩ませる場面が多い介護分野では、外国人材の存在はすでに身近なものになっています。現場の業務をともに担う存在として、日常のケアや支援の中に自然と溶け込んでいる事業所も増えてきました。

今回の制度見直しは、外国人材を受け入れるかどうかという段階を越えて、これからどのように迎え入れ、どのように育て、共に働いていくかを考える機会といえそうです。

育成就労と特定技能の位置づけを整理する

今回の運用方針案では、育成就労と特定技能の役割が比較的整理された形で示されています。特定技能は、一定の日本語能力や専門性を備え、現場で即戦力として働くことが期待される外国人を対象とした在留資格です。業務への適応が比較的早いケースも多く、すでに介護現場で活躍している人材も少なくありません。

一方、育成就労は、働きながら日本語能力や技能を身につけ、将来的に特定技能へ移行していくことを前提とした制度です。現場での経験を通じて段階的に力を伸ばしていく流れが制度の中に組み込まれている点は、これまでの技能実習制度との大きな違いといえます。この仕組みによって、受け入れ後の育成や関わり方を事業所として事前に整理しやすくなっており、現場にとっても重要なポイントとなっています。

分野別受け入れ見込み数(案)から見る介護分野

分野別の受け入れ見込み数(案)では、工業製品製造業分野や建設分野などが大きな規模となっています。

分野介護工業製品
製造業
建築飲食料品
製造業
農業
特定技能126,900人199,500人76,000人133,500人73,300人
育成就労33,800人119,700人123,500人61,400人26,300人
分野全体160,700人319,200人199,500人194,900人99,600人

※19分野のうち、受入れ見込人数の多い順に上位5分野を抜粋
出典:出入国在留管理庁・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度の受入れ見込数について(案)

介護分野についても、人手不足が深刻な分野の一つとして位置づけられており、特定技能と育成就労を合わせて最大でおよそ16万人規模の受け入れが想定されています。内訳としては、特定技能がおよそ12.7万人、育成就労がおよそ3.3万人程度とされています。

もっとも、これらはあくまで制度上の上限として示された数値であり、実際の受け入れは、各事業所の受け入れ体制や人員配置、育成にかけられる余力などによって左右されることになります。

人数の規模だけを見るのではなく、どのような準備や支援が必要になるのかを合わせて考えていく視点が欠かせません。

介護分野にとって育成就労制度は何を意味するのか

介護・福祉の現場では、すでに多くの外国人職員が働いています。施設系サービスを中心に、制度の範囲内でさまざまな現場を支える存在として定着しつつあります。

介護の仕事では、記録の作成や申し送り、利用者や家族への説明、緊急時の対応など、日本語での正確な理解と表現が欠かせません。日本語に不安を抱えたまま働くことは、本人の負担が大きくなるだけでなく、周囲の職員がフォローに回る場面を増やす要因にもなります。

育成就労制度では、日本語能力や技能の育成が制度上も重視されており、受け入れ後の育成や支援を現場任せにしない姿勢が求められています。これは、事業所としての関わり方や育成の考え方を見直す必要があることを示しているともいえます。

受け入れ人数以上に問われる「現場の準備」

介護育成就労制度_ポイント

分野別の受け入れ上限案を見ると、どうしても人数の話に目が向きがちです。しかし、介護・福祉の現場では、どれだけ受け入れるか以上に、どのように受け入れるかが日々の働きやすさに直結します。

日常的なOJTの進め方、日本語や介護特有の表現のフォロー、困ったときに相談できる体制、将来の働き方の見通し。こうした点が整理されていなければ、制度が整っても現場の負担感は残りやすいままです。

受け入れの質を少しずつ高めていくことが、結果として職員が長く安心して働ける環境づくりにつながっていくことも期待されます。

制度の動きを、現場の準備につなげていく

育成就労制度の開始はまだ先ですが、介護・福祉の現場として今から考えておきたいテーマは少なくありません。

日本語支援のあり方や育成体制、チームで支える仕組みづくりは、外国人職員に限らず、職場全体の働きやすさにも関わる要素です。制度の動きをきっかけに、まずは身近なところから一つ手をつけてみる。

業務マニュアルの見直しや、相談しやすい関係づくり、日本語での説明の整理など、小さな取り組みからでも十分です。そうした積み重ねが、日本語支援のあり方を整理し、職員が安心して働ける環境について考える土台になっていくのではないでしょうか。

参考:
・出入国在留管理庁「分野別運用方針について(案)
・出入国在留管理庁「育成就労制度及び特定技能制度に関する検討状況(有識者会議資料)

【この記事を書いた人】
太田 高貴
株式会社Blanket採用コンサルタント / 社会福祉士 / 一般社団法人総合経営管理協会 認定採用コンサルタント

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