株式会社BlanketKAIGO HR FARM制度が動く前に考えたい、外国人材受け入れのこれから。特定技能・育成就労をめぐる政府方針決定から考えること

制度が動く前に考えたい、外国人材受け入れのこれから。特定技能・育成就労をめぐる政府方針決定から考えること

公開日:2026/02/16 更新日:2026/02/16

介護・福祉の人事・組織づくりを支援するコンサルタント・太田が、話題のニュースやトレンドから、現場で役立つヒントを読み解く連載コラム。今回の“ひとさじ”は、特定技能・育成就労をめぐる政府方針決定を手がかりに、制度が動き出す前に現場で考えておきたい視点を読み解きます。


政府は2026年1月23日、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」を開き、外国人材の受け入れに関する複数の方針をまとめて決定しました。

特定技能と育成就労という二つの制度についても、分野別の運用方針が整理され、今後の受け入れの考え方がより具体的に示されています。今回の動きは、新しい制度を打ち出すというよりも、これまでに示されてきた制度について、どのような考え方で運用していくのかを明確にしたものといえます。

制度そのものはこれから本格的に動き出しますが、現場や社会とどう向き合いながら使っていくのか、その前提が少しずつ整理されてきたように感じられます。

人手不足が課題となりやすい分野にとっては、何かが一気に変わるというよりも、今後の対応を考える際の考え方や視点が示されたタイミングと受け止めることができそうです。

制度を横断して示された「受け入れの前提」

今回の会議では、特定技能や育成就労の運用方針とあわせて、「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」も決定されています。

ここでは、外国人材の受け入れを単なる人手不足対策としてではなく、社会全体との関係の中で捉える姿勢が示されています

既存ルールの遵守や安全・安心の確保、地域社会との関係づくりなど、現場の外側も含めた視点が盛り込まれている点が特徴です。

必要だから受け入れる、という発想だけではなく、どのように受け入れ、どのように共に働いていくのかを前提に考える姿勢が、制度全体を通して意識されているように見えます。

受け入れ人数よりも、運用の考え方に目を向ける

分野別の運用方針では、特定技能と育成就労を合わせた受け入れ上限数が、2028年度末までの5年間で計123万1,900人、うち介護分野は16万700人と設定されています。

特定技能と育成就労の受け入れ上限数123万1,900人
介護分野16万700人

数字だけを見ると大きな規模に見えますが、同時に上限を設けている点にも目を向けておきたいところです。

無制限に受け入れるのではなく、分野ごとの人手不足の状況や、受け入れ体制、社会的な受け止めを踏まえながら調整していく──。

そうした考え方が、制度運用の前提としてより明確になってきているように感じられます。

現場としては、何人来るのかという数字だけでなく、どのような条件や前提で人材が想定されているのかを丁寧に読み取っていくことが、これまで以上に重要になりそうです。

育成就労に見える、関わり方の変化

育成就労の運用については、転籍制限の扱いなど、いくつかの重要な考え方が整理されました。原則1年とされてきた転籍制限について、分野によっては2年以内とすることが可能とされています。

この点は、育成就労を短期間で次に進む制度としてではなく、一定期間、同じ現場で経験を積みながら力を伸ばしていく仕組みとして位置づけようとする意図がうかがえる部分です。

事業所側にとっても、受け入れた人材とどのように向き合い、育てていくかを考えやすくなる要素といえます。

また、分野共通の基準を上回る上乗せ基準を設定できる点も示され、日本語能力や技能水準について、分野の実情に応じた判断ができる余地が残されています。一律の基準で管理するのではなく、現場の特性を踏まえた柔軟な運用を認める方向性が示されたと受け止めることができます。

参考:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針及び特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について|首相官邸


育成就労制度の詳細は、こちらのコラムで詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

現場に問われているのは「理解」より「向き合い方」

今回の方針決定を通して感じられるのは、制度の細かな内容を理解すること以上に、制度とどう向き合い、現場の中でどう活かしていくかという視点が、より重要になってきているという点です。

育成就労であっても特定技能であっても、外国人材は一定期間、現場を支える一員として関わる存在になります。

そのため、受け入れた後の育成や日々の関わり方を、事業所としてどのように整理し、考えているのかが、これまで以上に問われていくことになります。

制度は方向性を示しますが、実際の関係づくりや職場での関わりは、現場の判断や工夫に委ねられています。今回の運用方針は、その前提をあらためて示したものと捉えることもできそうです。

今、現場で整理しておきたいこと

制度が整理されたからといって、すぐに何かを大きく変えなければならないわけではありません。むしろ今は、自分たちの現場の状況を落ち着いて見直す機会と捉えることもできます。

・どの業務を、どのような体制で回しているのか。
・外国人材が関わるとしたら、どの部分が現実的なのか。
・日々のフォローや育成を、誰がどのように担っていくのか。

こうした点を一つずつ整理していくことが、制度を受け身で受け取るのではなく、現場に合った形で活かしていくための土台になります。

制度は今後も調整や見直しが重ねられていくはずです。その動きを待つだけでなく、今の現場に引き寄せて考え続けることが、結果として制度を活かすことにつながっていくのではないでしょうか。

参考:外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議|首相官邸

【この記事を書いた人】
太田 高貴
株式会社Blanket採用コンサルタント / 社会福祉士 / 一般社団法人総合経営管理協会 認定採用コンサルタント

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