介護・福祉業界で新卒採用をするメリット・デメリット|介護・福祉の新卒採用Vol.1
2025/03/04

「うちの法人は小さいから新卒なんて来ないよ…」「新卒採用やってたけど、採用できないんだよね…」「やってみたいけど、どうはじめたらいいの?」と思っていませんか?そう思っているとしたら、諦めるにはまだ早いです。新卒採用にはコツが必要です。
そこで今回から、新卒採用のやり方から最新の情報・具体的な事例等、新卒採用にまつわる介護・福祉事業者の皆さんに役に立つレポートをお送り致します。第1回目は新卒採用の基本から現状、新卒採用を行うことのメリット・デメリットなどをご紹介します。新卒採用担当者の方は、この機会にぜひ見直してみてはいかがでしょうか。
第1回は「介護・福祉業界で新卒採用をするメリット・デメリット」についてご紹介します。
新卒採用の現状について
社会人経験(就業経験)が無く、かつ学校を卒業したばかりの学生を採用することを「新規学卒者採用」といい、新卒採用はその略称です。ハローワークの統計によると、毎年約44万人の大学卒業者が労働市場に流入しています。
次に新卒採用の全体の現状について見ていきましょう。

2025年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率(1人当たりの求人数)は1.75倍となっており、売り手市場(学生が法人より優位な状態)です。2024年卒の1.71倍より0.04ポイント上昇しました(図1)。

今年度(2025年4月入社)の就職内定率を見てみると、2月1日時点の大学生(大学院生除く)の就職内定率(内々定含む)は、39.3%。前年より+15.4ポイントとなりました。これは、現在の就職活動スケジュールとなった2017年卒以来、過去最高となりました。(図2)
早い段階から内定を得ている学生が年々増えていることから、人材確保の面からみると、採用活動は早めに行っていく必要があると考えられます。
介護・福祉業界の新卒採用の傾向について
介護・福祉業界の傾向として、福祉関係の学部・学科のある大学からの学生の採用や、介護・福祉関係の専門学校生の採用など専門領域を勉強している人材を採用している場合が多いです。
現在は、就職の選択肢として他学部(文学部・経済学部等)から介護・福祉業界に就業する学生も多くなってきました。「おばあちゃんが好きだから」や「介護施設に行った時に職員さんが、とても楽しそうにしていた」「身内に介護職員がいる」など理由はさまざまですが、他学部でも介護・福祉業界に興味を持ち、入社する学生も毎年一定数います。ちなみにですが、私(筆者)が前職で新卒採用を行っていた時は、採用学生の7割程度が他学部(経済学部・文学部等)からの出身でした。介護・福祉を学んでいる学生だけではなく、他学部からの採用を検討してみるのも1つの手かもしれませんね。
介護・福祉業界が新卒採用をしたほうが良い理由
次に、新卒採用が経営や組織にどのような好影響を与えるかについてご紹介します。好影響は以下の3つが挙げられます。
1. 組織の年齢構成の最適化
中途採用中心で採用を行うと年齢の偏りが生まれる場合があります。若い人材を採用できない法人であればあるほど、組織の年齢構成が高年齢化していくことになります。全国労働組合総連合が行った「介護労働実態調査」では、施設介護労働者の平均年齢は44.8歳、訪問介護労働者の平均年齢は55.5歳(20代は全体の1%)と、介護業界の人材の高齢化の実態が浮き彫りになりました。この年齢構成は、5年、10年、15年…と経過する中で、事業継続のリスクをはらんでいると思われます。新卒採用で中長期的に事業を支えることが期待できる人材を確保することで、バランスの良い年齢構成の組織をつくり、安定した事業運営へとつなげることができます。
2. 組織の活性化
新入社員が入社することによって、社内の空気や人間関係に刺激を与えることができます。特に社会経験がなく、吸収力の高い新卒社員を育成することにより、既存の社員が「これってなぜやっていたんだっけ?」「この知識・ケアって本当に正しいの?」など仕事を振り返る機会となり、自らの知識・技術を改めて学ぶことができます。さらに、新卒の受け入れと組織活性化に伴い、会社内での暗黙のルールや問題点など気づかなかった点が浮き彫りになるため、組織を見直す機会となるでしょう。
高齢者施設などは、若い人材が利用者の意欲向上の要因になる可能性があります。「それまで散歩に行かなかった利用者が若い職員に誘われたら一緒に行くようになった」という事例があり、利用者の活性化につながります。
3. 職場の定着

中途採用と比較し、新卒で入社した社員は定着率が良いとされています。過去5年間の定着率を見ると、介護・福祉業界経験者で採用し定着した割合が、約20%に対し、新卒の定着率は30%と10ポイントも高いのです。(※図3)費用面や人員配置基準のクリア、なにより、利用者に安定的なサービスを供給するうえでも、定着率がよい新卒採用は法人にとって大きなメリットがあります。
中途採用と比較して分かる新卒採用のメリット・デメリット
新卒採用を行うことで組織に良い効果があると分かりました。しかし良いことばかりではありません。ここでは中途採用と比較して新卒採用のメリット・デメリットを見てみましょう。どのような違いがあるのでしょうか。項目ごとに確認してみましょう。

このように、新卒採用と中途採用を比較しても分かるように、良し悪しがあります。
新卒採用は育成コストは高いものの、成長ポテンシャルが高い人材が採用できる可能性が高いです。数年後、施設長・リーダーになった際には部下に法人理念やケアの方針などを継承していける強みがあります。
一方で中途採用では、ミスマッチによる早期離職や職場順応が進まないといったケースが起きる場合もありますが、経験・スキルが豊富な人材を採用しやすく即戦力に出会える可能性が高いと言えます。
まとめ
介護・福祉業界における新卒採用は、「人材確保」という視点だけでなく、組織の将来を見据えた戦略的な取り組みです。新卒採用を行うことで、
・組織の年齢バランスを最適化し、持続可能な運営ができる
・ 若手社員の活躍が既存社員に良い刺激を与え、組織全体が活性化する
・定着率の向上により、安定した介護・福祉サービスの提供につながる
といったメリットが得られます。
一方で、育成に時間とコストがかかるなどのデメリットもありますが、長期的に見ると人材の定着と組織の成長に大きく貢献する採用手法です。介護・福祉業界の人材確保がますます重要になる中で、新卒採用と中途採用をバランスよく組み合わせ、短期・長期の両方の視点で採用戦略を考えることが求められます。
「今すぐに人手が欲しい」という課題と並行して、未来の組織づくりのために、新卒採用をどう活かすかをぜひ検討してみてください。
株式会社Blanketでは、介護・福祉事業者様の採用・育成・定着支援を行っております。支援メニューはダウンロード資料にてご覧いただけます。
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【この記事を書いた人】

松川 由佳 株式会社Blanket 採用コンサルタント
介護の人材不足の現状を目の当たりにし介護事業会社に入社。全国の新卒(大卒・専門卒・高卒合わせて)年間約100名超の採用活動に従事。採用設計からイベント・入社関係、新卒の採用全般を担当。沢山の人に介護の魅力や、素晴らしさを届け、業界全体が素敵な法人で溢れるように組織・人材開発のお手伝いをしたいと思い株式会社Blanketに入社。入社後は法人の採用支援、法人・行政の介護・福祉のお仕事PRを中心に担当。