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介護・福祉業界で新卒採用が難しいと言われる理由と、うまくいく法人の共通点【“読む”介護の組織をよくするラジオ】

公開日:2026/01/07 更新日:2026/01/07

株式会社Blanketがお届けするポッドキャスト「介護の組織をよくするラジオ」の要点やポイントをまとめた“読むラジオ”です。各エピソードで取り上げたテーマをもとに、介護・福祉の現場で今まさに起きている変化や、組織づくりのヒントを紹介しています。


介護・福祉業界の採用課題として、近年特に多く聞かれるのが「新卒採用は難しい」という声です。しかし本当に、新卒採用は介護・福祉業界にとって難易度が高い選択肢なのでしょうか。

そこで今回は「新卒採用は本当に難しいのか」をキーワードに、学生の視点と現場支援の実感をもとに、介護・福祉法人が見直すべきポイントを整理します。

【今回のパーソナリティ】
・野沢(Blanket/取締役、人事・採用コンサルタント)
・大坪(Blanket/採用コンサルタント、聞き手)

現場では、「新卒採用を頑張ってます」と「新卒にはコストもリソースも割けない」の二極化が進んでいる感じがしますね。

介護・福祉業界に限らず、やはり中小事業所の場合は新卒採用が難しいという面はあります。ただ、やっぱりメリットや価値もあると現場支援を通して感じています。

介護・福祉業界で新卒採用が「難しい」と言われる2つの理由

介護・福祉業界における新卒採用は、法人ごとにスタンスが大きく分かれています。積極的に新卒採用を行っている法人がある一方で、最初から選択肢に入れていない法人も少なくありません。

新卒採用が難しいと言われる背景には、主に次の2つの理由があります。

理由(1)「新卒を育てる余裕がない」

介護・福祉の現場は日々の業務が忙しく 「新卒を一から育てる人手も時間もない」という声は非常に多く聞かれます。

即戦力が求められがちな業界特性もあり、 どうしても「経験者=戦力」「新卒=負担」という構図で捉えられがちです。

そのため、新卒を受け入れる体力がないため、即戦力である人材を中心に求める傾向があります。

新卒採用が難しいタイミングの組織も、もちろんあると思います。ただ、もし「育てられないから無理」と、食わず嫌いのような感じになっているとしたら、今回の記事が、何かのヒントになればいいなと思っています。

理由(2)「どうせ学生は来ない」という諦め

もう一つは、「介護・福祉業界は学生に人気がない」「新卒採用をしても応募が集まらない」と、最初から可能性を閉じてしまっている状態です。

確かに、他業種との人材獲得競争が激化する中で、新卒採用の難易度や採用単価が上がっているのは事実です。しかしそれは、「学生が来ない」というよりも、「これまでと同じやり方では選ばれにくくなっている」という状況に近いといえます。

介護・福祉業界の新卒採用の誤解。「育てられない」「どうせ来ない」は本当?

「育てられない」「どうせ来ない」という言葉の裏側を丁寧に見ていくと、現状の課題そのものというより、思い込みや前提が固定化してしまっているケースも多く見受けられます。

ここでは、「育てられない」「どうせ来ない」は本当かを検証してみましょう。

組織に若手が入ってくると活気も出ますよね。ただ、ちゃんと育成することを考えると、「そこまで余裕が……」となる事業者さんが多いですかね。

新卒を育成するコストばかりが強調されがちですが、中途採用においても一定の育成やフォローは不可欠です。

とりわけ、職員の高齢化が進んでいたり、組織としての価値観や文化が見えにくくなっている状況では、新しい視点や空気を取り入れる手段として、新卒採用を改めて検討する余地があるのではないかと思っています。

介護・福祉業界で“新卒は育てられない”?育成コストの誤解

「中途採用は即戦力だから育成コストがかからない」という考え方は、 実は大きな誤解を含んでいます。中途採用であっても、

・組織のルールや文化
・仕事の進め方
・人間関係やチームワーク

を理解し、馴染むためのサポートは必須。つまり、本当の意味で人を受け入れようとすれば、新卒も中途も育成は必要なのです。そして、「組織の文化に馴染みやすいか」という観点については、初めての就職となる新卒採用の方が適応しやすいということも言えるとも考えられます。

実際に新卒を毎年一定数迎え入れ、丁寧な受入を行っている事業所の多くは、中途入社者より、新卒入社者の方が定着率が高いように思います。

「新卒は来ない」は事実ではない

新卒採用の難易度が上がっているのは事実ですが、介護・福祉業界でも新卒採用に成功している法人は存在します。実際は「来ない」のではなく、

・情報が届いていない
・魅力が伝わっていない
・選ばれる理由が言語化されていない

といったケースがほとんどです。新卒からの応募を集めるためには、現在の新卒採用の傾向を押さえながら学生にどうアプローチしていくかという戦略が欠かせません

学生は介護・福祉の仕事をどう見ている?

こうした誤解を解くためには、まず「学生が介護・福祉をどう見ているのか」を正しく知る必要があります。新卒採用を考える上で欠かせないのが、「学生が業界をどう見ているか」という視点です。

人材獲得の競争が激化する中で、介護・福祉の業界を選んでもらうのは結構ハードルが高いように感じています。

確かに、新卒採用においては他業界という意味での「ライバル」は多いかもしれません。ただ、大学生が介護・福祉業界をどのように見ているのかをデータで見てみると、意外な一面も見えてきます。

ポジティブなイメージ:人の役に立つ仕事

新卒セミナー_業界ポジティブイメージ

マイナビが大学生を対象にした業界イメージ調査(※)では、介護・福祉業界は「人の役に立つ仕事」という項目で全業界中トップという結果が出ています。

・社会的意義が高い
・将来性がある
・女性が活躍している

介護・福祉業界は、大学生から比較的ポジティブに捉えられている業界です。意外かもしれませんが、大学生が“一番人の役に立つ仕事”だと感じているのが、実は介護・福祉の仕事なんです。

マイナビ 2026年卒 大学生 業界イメージ調査|株式会社マイナビ

ネガティブなイメージ:働く環境への不安

新卒セミナー_業界ネガティブイメージ

一方で、ネガティブなイメージが残っているのも事実。

・休みが少なそう
・給与や待遇が良くなさそう
・人間関係が大変そう

といったイメージは、他業界と比べて低く評価されがちです。

その結果、多くの学生は 「大事な仕事だとは思うけれど、自分がやる仕事ではない」という距離感で介護・福祉を見ています。

これを踏まえると、採用PRの伝え方自体も少し変えていく必要がありそうですよね。

介護・福祉の良いところはもう学生も分かっている。もちろん仕事内容を伝えることは大事ですが、それだけで「ここで働きたい」と思ってもらえるかというと、少し足りない状況なんです。

介護・福祉の新卒採用で最も重要なのは「共感」

こうした状況の中で、新卒採用を成功させるために最も重要なのが「共感」です。ここではなぜ「共感」がキーワードになるかを解説します。

じゃあ具体的にどうすればいいのという疑問が浮かびます。

結局のところ、学生にとっての選択は「介護・福祉業界で働くかどうか」ではなく、「この組織で働きたいかどうか」に行き着くのだと思います。

条件や仕事内容だけでは選ばれない時代

給与、休日、福利厚生といった条件面はもちろん重要です。しかし、それだけで学生の意思決定がなされる時代ではありません。

特に介護・福祉業界は、 「仕事内容の意義」はすでに理解されている業界です。だからこそ問われるのは、

・なぜこの法人なのか
・何を大切にしている組織なのか
・ここで働く意味は何か

という部分です。

「共感」を軸にした新卒採用へ

そこで重要になるのが「共感」です。新卒採用を行うなかで、すべての学生に選ばれる必要はありません。重要なのは、価値観が重なる学生と、自然に出会える状態をつくることです。

理念や想い、目指している姿を一貫して伝えることで、「ここで働きたい」と感じる学生が必ず現れます

採用手法の前に、“どんな組織か”を一貫して伝えられているかが、最大の差別化になるわけです。

新卒採用がうまくいく介護・福祉法人の共通点

新卒採用が安定している法人には、明確な共通点があります。ここでは3つを紹介します。

介護・福祉の新卒採用では、条件や基本情報の前に、“共感”を起点とした信頼づくりが不可欠になります。つまり、新卒採用の鍵は、共感 × 現実感 × 不安の払拭の掛け合わせにあるんです。

特徴(1) 若手職員が自分の言葉で法人を語れる

新卒や若手職員が、「なぜこの法人で働いているのか」「どんなやりがいがあるのか」を、自分の言葉で語れる組織には、若手世代が集まります。

特徴(2) 理念や価値観が言語化されている

「何を目指している法人なのか」 「何を大切にしているのか」が言語化され、日常的に共有されていることが、採用の強さにつながります。

正直、新卒のファーストキャリアで介護・福祉を選ぶ人は、そこまで多くはないですよね。ただ、選ぶ人は大きく二ついて、もともと福祉に関心がある人と、就活を通して「介護もありかも」と考えが変わった人。

共通しているのは、「なぜここで介護の仕事をするのか」に、自分なりの納得があるかどうかです。だから、思いや大切にしていることを語れない採用では、どちらの学生にも響かない。

結局、選ばれている事業所は、その部分をちゃんと伝えられているところなんだと思います。

特徴(3)育成を前提とした組織づくりをしている

新卒を育てられる組織は、中途採用者も定着しやすい組織です。新卒採用に本気で向き合い、育成を前提とした組織づくりを進めると、組織全体の安定につながります。

それは、

・教える内容や順序が整理される
・現場内での役割分担が明確になる
・「分からない」と言える空気が生まれる

といった変化が基点となるもので、実はこの仕組みは、新卒だけでなく、中途採用者にとっても「働きやすい環境」として機能します。結果として、新卒を育てられる組織は、中途採用者も定着しやすい組織になるという状態が生まれていきます

さらに、育成を前提とした仕組みは、

・採用後のミスマッチを減らす
・定着率を高める

という意味で、組織への投資でもあるのです。


新卒や若手採用の成功事例は、こちらの記事でも紹介しています。若手に選ばれる施設がどのような取り組みを行なっているかぜひ参考にしてください。

まとめ|介護・福祉業界の新卒採用を見直すということ

介護・福祉業界の新卒採用は、確かに簡単ではありません。しかし、「難しいからやらない」と切り捨ててしまうには、あまりにも多くの可能性を秘めています。

・学生は仕事の意義を理解している
・選ばれない理由は「伝わっていない」こと
・共感を軸にした採用は、組織を強くする

新卒採用は、人集めではなく未来の組織づくりです。一度、自分たちの組織が「何を大切にしているのか」を言葉にするところから、始めてみてはいかがでしょうか。

新卒や若手に対しても、やっぱり「怖がらない」って大事ですよね。

そうですね。まずは、自分たちが何を大切にしていて、どんな学生と一緒に働きたいのかを整理するところからで大丈夫です。

もし具体的な進め方に悩まれたら、Blanketのセミナーや個別相談などもありますので、ぜひ気軽に活用してみてください。


Blanketでは、介護・福祉業界の「応募がこない」「人材が定着しない」といった課題に対して、採用のパートナーとして共に考え、アクションし、伴走する採用コンサルティングサービスを提供しています。

組織作りから採用・人事、さらには採用ツールのお悩みまで、「良い組織づくり」を全力でお手伝いします。

詳しいサービス内容や導入事例はこちらからご覧ください。

【今回の「介護の組織をよくするラジオ」を聞いてみる】
■vol.12-① 介護・福祉業界の新卒採用を語ろう。新卒採用から考える“よい組織”づくり
SpotifyYouTube
■vol.12-② 介護・福祉の新卒採用はなぜ苦戦する?競争市場で勝ち抜くためのポイント
SpotifyYouTube

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・ラジオで扱ってほしい話題
・現場で感じている疑問やモヤモヤ
・「うちではこんな工夫しているよ」という実践事例
・番組の感想 など

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