株式会社BlanketKAIGO HR FARM他業界の採用抑制から考える、介護・福祉が「選ばれる職場」であり続けるために

他業界の採用抑制から考える、介護・福祉が「選ばれる職場」であり続けるために

公開日:2026/02/02 更新日:2026/02/02

介護・福祉の人事・組織づくりを支援するコンサルタント・太田が、話題のニュースやトレンドから、現場で役立つヒントを読み解く連載コラム。今回の“ひとさじ”は、企業のテクノロジー導入が進むなかで見えてきた「採用の変化」に注目します。人が担ってきた業務を見直す動きが広がる今、介護・福祉の仕事はどのような立ち位置にあるのか。調査結果を手がかりに、これからの人材戦略と職場づくりのヒントを探ります。


マイナビが公表した「AI・テクノロジー導入におけるアルバイト採用状況調査」によると、AIやロボットなどのテクノロジー導入が進むなかで、アルバイトの新規採用数を抑制した企業が半数近くにのぼりました。業務の効率化や自動化が進み、これまで人が担ってきた仕事を別の手段で補うという判断をする企業が、業界を問わず増えてきている様子がうかがえます。

こうした動きからは、採用そのものを見直したり、必要な人材像を再定義したりする企業が増えていることが読み取れます。採用を取り巻く環境が単純に厳しくなるというよりも、企業ごとに採用の考え方や力の入れ方に違いが生まれつつある、という変化が表れてきているように思います。

介護・福祉の仕事は、ICTやロボットの活用が進んでいるとはいえ、人と人との関わりそのものが価値になる仕事です。効率化できる業務と、人が担うからこそ意味が生まれる業務が比較的はっきりしている分野でもあります。他業界が業務の進め方を見直すなかで、人との関わりを軸にした仕事に関心を持つ人にとって、介護・福祉はあらためて選択肢として意識されやすい分野だと考えられます。

介護・福祉が「選ばれる職場」であり続けるために

テクノロジー導入によって採用数を抑える動きが広がる背景には、人手不足への対応や業務の組み立て方を変えたいという企業側の意図があります。一方で、介護・福祉の現場では、人が減ればそのまま現場の負担やサービスの質に影響が出やすいのが現実です。そのため、単に採用人数を増やすというのではなく、どんな職場なのか、ここで働くとどんな日常になるのかを丁寧に伝えていくことが、採用の場面でも重要になっています。

他業界が業務の効率化を進めるなかで、人との関わりを大切にした仕事を志向する人にとって、介護・福祉は魅力を感じやすい分野でもあります。ただし、その魅力が言葉として伝わらなければ、比較検討の対象に入らないことも少なくありません。採用活動では、制度や待遇の説明に加えて、現場でどのようにコミュニケーションが行われているのか、困ったときにどんな形で支え合っているのか、チームの中でどのように役割が分担されているのかといった、日々の働き方がイメージできる情報が、これまで以上に重みを持ってきます。

特別な演出や新しい取り組みを無理に用意しなくても、普段の仕事の進め方や人との関わり方を言葉にすることで、働く姿を想像しやすくなります。そうした情報の積み重ねが、職場の雰囲気として自然に伝わっていきます。

テクノロジー導入が進む今だからこそ見えてくる視点

今回の調査では、テクノロジー導入によってアルバイト採用数を抑制した企業が多く見られましたが、これは必ずしも人を減らすことそのものが目的ではありません。業務の一部をテクノロジーが担うことで、人が本来向き合うべき業務に時間やエネルギーを使いやすくする、という考え方も含まれています。

介護・福祉の現場でも、記録業務や情報共有の効率化などを通じて、利用者と向き合う時間を確保しやすくなる場面があります。テクノロジーは人を置き換える存在ではなく、現場を支える補助として活用されることで、日々の業務を続けやすくする手段の一つになります。

大切なのは、他業界の動きをそのまま取り入れることではありません。現場の業務を見渡しながら、どこに工夫の余地があり、どこは人の関わりが欠かせないのかを整理していくことです。この整理ができていると、採用の際に伝えるメッセージも、より具体的でわかりやすいものになっていきます。

人手不足が続くなかで考えたい、採用の伝え方

テクノロジー採用ポイント_コラム

介護・福祉の採用では、現場が忙しい状況や人手の厳しさだけを伝えてしまうと、仕事の全体像が伝わりにくくなることがあります。だからこそ、どんな環境で働けるのか、どんな仲間がいるのか、仕事のなかでどんなやりがいや成長を感じられるのかといった点を、具体的に伝えていくことが重要です。

他業界で採用数を抑える動きが見られる今は、介護・福祉の仕事に関心を持つ人に対して、何を前に出すかを見直すタイミングとも言えます。現場の日常や価値観を言葉にすることは、結果として選ばれる職場であり続けるための土台を整えることにつながります。

他業界の動きを、自分たちの採用にどう活かすか

今回の調査結果からは、介護・福祉が他業界のやり方をそのまま当てはめる必要はない一方で、参考にできる視点や工夫も多く含まれていることが見えてきます。業務の切り分け方や伝え方、テクノロジーとの付き合い方など、他分野の取り組みを自分たちの現場にどう活かすかを考えることが大切です。

他業界の採用抑制という動きを、自分たちの現場を見つめ直す材料として捉えながら、介護・福祉ならではの働き方や魅力を、少しずつ発信していく。その積み重ねが、将来の採用や定着を支える力になっていくのではないでしょうか。

【この記事を書いた人】
太田 高貴
株式会社Blanket採用コンサルタント / 社会福祉士 / 一般社団法人総合経営管理協会 認定採用コンサルタント

プロフィール
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