インターンシップは参加してる?他業種から介護職を志望する場合も!「新卒介護職の本音座談会」【前編】
2024/07/30
「介護職を目指す学生はどんな就職活動をしているの?」
「他の施設の面接が知りたい」
「入職の決め手は何?」
「KAIGO HR FARM」では、人事担当が一度は抱える疑問を解決するべく2022年卒と2023年卒の介護職4名をお招きして本音座談会を実施しました。就職活動の動き方や志望度が上がった・下がった面接、入職後のギャップなどリアルな声から効果的な採用戦略のヒントを見出してみましょう。
前編では、就職活動と選考中、現職の決め手について語っていただきました。
目次
・インターンシップの参加はバラバラ!就活の途中から介護職に絞る場合も
・就職活動で使っていたサービスは?施設選びでは財務状況もチェック対象に!
・無表情な対応の施設はNG、内定者フォローも決め手につながる!
・まとめ
Profile
Kさん
福祉学部専攻、2023年卒。主に障害福祉や地域福祉を学び、障害福祉施設に入職。現在は施設内の寮で運営・管理を中心に、利用者の生活全般のサポートを務める。
Yさん
文学部専攻、2023年卒。在学中の北欧留学で老人ホームを視察し、介護・福祉業界に興味を持つ。卒業後は特別養護老人ホームに入職し、現在はショートステイにて介護職に従事。
Mさん
文学部専攻、2022年卒。サークルの後輩(福祉学科専攻)の話を聞いているうちに介護職の見方が変わり、興味を持ち始める。卒業後は有料老人ホームに入職し、介護職に従事。
Iさん
福祉学部福祉学科専攻、2023年卒。中学校の職場体験で介護施設に訪問したことを機に介護職を志し、高校で介護福祉士の資格を取得。現在はサービス付き高齢者向け住宅にて介護職に従事。
インターンシップの参加はバラバラ!就活の途中から介護職に絞る場合も
―みなさんが就職活動を本格的に始めたのはいつ頃ですか?
3年生の12月です。介護施設の説明会に参加するようになりました。
3年生の年末までは他の業界を見ていました。介護・福祉業界に絞るようになったのは年明けからです。
3年生の秋頃までは公務員になることも検討していましたが、一般企業か介護業界に進もうと思い、3年生の冬頃から本格的に説明会に参加するようになりました。介護業界に絞ったのは4年生の夏です。
4年生の4月頃です。社会福祉士の実習と卒論が重なるのでどうしよう……と思っていたら遅くなってしまいました。
―みなさん3年生の秋から4年生の春くらいに本格化したのですね。ちなみに、就職活動では業界研究や企業研究のためにインターンシップに参加される学生の方も多いと思います。皆さんは就活中にインターンシップには参加しましたか?
もとは公務員志望だったので3年生の夏に市役所の実習に参加しました。そこで福祉領域の仕事内容はわかったので、施設のインターンシップは参加しませんでした。
3年生の夏に一般企業のインターンシップに参加しました。業界は不動産、IT、人材派遣。当時は介護職になろうと決めきれていなかったこともあり、施設のインターンシップには参加していません。
3年生の夏から業界問わずにオンラインの説明会に参加しましたが、インターンシップは参加していません。介護職でいえば、参加したのはオンラインの施設見学ツアーのみ。施設の雰囲気を知りたかったので参加しました。
社会福祉士と迷っていたので、3年時に社会福祉協議会のインターンシップに、4年時に地域包括センターの実習に参加しました。
―公務員や他の業界と迷われていた方にお聞きしたいのですが、最終的に介護・福祉業界を選んだ決め手は何でしたか?
決め手というよりも、公務員は自分に合わないと思ったのでやめました。市役所の実習に参加して「この堅苦しい感じ、無理かも……」と思って。
まだ介護業界に決めきれていない時は、間接的に介護業界を良くしたいと思っていたし、それができると思っていました。
だけど、実際は難しいと痛感。人材派遣会社の社員と話した際、介護業界ではこういう問題があって解決したいと言っても全然話が通じなかったんです。介護のコンサル会社のインターンシップに参加した時も、ある子が「赤字を黒字にするのが楽しかった」と言っていたけど私にはこの感覚が全くないし、自分は純粋に介護業界を良くしたいのだと気づきました。
人材派遣もコンサルも自社の利益重視と感じてしまって、介護業界を変えるには自分が介護職になって働きかけるしかないと思いました。
合同説明会で介護施設の人事の方と話してから興味をもち、職種について調べていくうちに介護職への気持ちが高まっていきました。家に仕事を持ち帰らないことも良かったかな。介護職は個人情報を扱うことが多いので仕事は職場で完結できる。プライベートの時間を確保できると思いました。
採用コンサルタントからのアドバイス
就職活動の早いタイミングでは、業界研究の一環として、様々な業界の情報を調べ、興味をもった業界・企業のインターンシップに参加し、そこで志望業界・企業を絞る学生も多いようです。一方で、介護業界のインターンに参加する学生は多くなく、最終的に介護業界を選んだ今回お話をうかがったみなさんも介護業界のインターンシップには参加していませんでした。最終的により多くの学生に説明会や選考に参加してもらうには、インターンシップが始まるよりも早いタイミングで、介護業界や自事業所に関心を持ってもらうアプローチが重要になると言えます。
就職活動で使っていたサービスは?施設選びでは財務状況もチェック対象に!
―就職活動で利用するサービスといえばマイナビやリクナビですが、他に使っていたサービスや参加したイベントはありますか?
介護・福祉業界に特化した合同説明会に参加しました。あとは社会福祉協議会が主催する合同説明会に行くようにしていました。
ワンキャリ(ONE CAREER)を使っていました。毎日15分ほど企業のプレゼン動画が配信されていて、流し見でも業界研究ができるので便利でした。実際のESや企業の口コミを見られたのも良かった点です。
―就職先を選ぶうえで、絶対に譲れなかったものや軸としていたことを教えてください。
職場の雰囲気です。市役所が堅苦しかった分、和気あいあいとした雰囲気を求めていました。給与ももちろんですが、福利厚生の諸手当も重視していました。
施設を見ないと分からないので、20社ほど見学しました。見学したのは内定後です。当時はコロナ禍ということもあって、内定をもらわないと見学させてくれなかったので、施設見学のために受けていました(笑)。あと、アニュアルレポートで財務状況を見ていました。
20社はすごいですね(笑)。私は介護職に就く・就かないに関わらず、人間関係が良い職場で働きたいと思っていました。
ワーク・ライフ・バランスを保てる環境かどうかを重視して、休日休暇制度や日勤・夜勤の勤務時間をよく見ていました。大学時代にアルバイトをしていた介護施設がかなりブラックで、絶対にそういう施設では働かないと決めていたからです。「お客さま第一」と謳う施設は絶対に嫌でした(笑)。スタッフのQOLが高くないと利用者さんに十分なケアはできないと考えていたので、働きやすい環境を整備している施設が良いなと。
あと、利用者さんに寄り添う姿勢なのかどうかも見ていました。大学の福祉留学で訪問した介護施設の施設長が「転倒リスクがある人を拘束すれば安全は確保できるけど、自由ではない。安全度と幸福度は比例しない」と話していたのが印象的でした。
その言葉で、利用者さんにとって本当に良い選択をしようとする姿勢がある施設で働きたいと思うようになりましたね。日頃のケアからプラスアルファをしようとしているのかどうかも見ていました。
採用コンサルタントからのアドバイス
働き方・働くことへの意識も多様化している昨今、学生が就職先に求めるポイントも多様化しています。求人企業がPRしたい箇所とはまた違う点をチェックし、取捨選択をしている学生も少なくありません。特にここ最近では、勤務時間や休日、福利厚生などワーク・ライフ・バランスが保てる職場かどうかを重視する学生が多い傾向があります。それらの情報も含め、多くの情報を公開することで、関心を持つ学生を増やすことにつながります。WEBサイトやSNSなども有効活用しましょう。
無表情な対応の施設はNG、内定者フォローも決め手につながる!
―選考についてもうかがいます。志望度が上がった・下がった、または、やりやすかった・やりにくかった面接はありましたか?
“表情を大切に”と謳っている施設なのに、笑顔のない無表情で面接に通されたときは志望度が下がりました(笑)。
圧迫面接はなかったかな。集団面接は形式的な堅苦しさがあって少し苦手だったかも。個人面接は面談のようで話しやすいと思いました。
私が受けた介護施設の面接官は全員丁寧な対応でした。一番印象に残っているのは、最終面接で「介護業界は人材不足だけど、誰でも採用しているわけではありません。人柄を含めて判断しているので、Mさんが私たちの一員になっていただけたらうれしい」と言われた時です。とても誠実な印象を受けました。
現職の面接は理事長・施設長・他拠点の施設長と私の3対1でした。うれしかったのは、私の意見に全肯定してくれたこと。戸惑ったのは、理事長から1900年代と2000年代の認知症の違いについて聞かれた時です。うまく話せたのか心配でしたが、面接終了後に人事部の人に「理事長も好印象だったよ」と言ってもらえたのでホッとしました。
―今の職場の決め手を教えてください。
働いているスタッフの表情や雰囲気が良かったことと、スタッフをコマ扱いしないことです。スタッフを一番に考えてくれる風土に惹かれました。福利厚生が良く、住宅手当が最大4万円、アパートの駐車場なら最大半額支給されるのも魅力的でした。
施設に鍵がかかってないことです。利用者さんが自由に動ける施設で働きたいと思っていたので好印象でした。
一番は人や職場の雰囲気ですが、内定後のフォローが手厚かったのも決め手です。オンラインで施設を案内してくれたり、先輩との座談会があったり。特に良かったのは、内定者にサポート係がついてくれたこと。疑問や不安があっても聞きやすくて安心感につながりました。
地元にあること、理念や考え方に共感できたこともそうですが、一番の決め手はメリハリをつけて働ける環境です。4月から有給休暇を付与されるのも魅力的でした。とはいえ、実際に働いてみないとわからないことは多いので、働いてみて自分に合わなかったら転職しようと考えていました。
―Mさんは内定後のフォローが決め手とのことですが、他の方も「これは良かった!」と思った内定後のフォローはありますか?
懇親会です。飲み会みたいで同期と打ち解けられました。
懇親会もそうですし、全拠点見学があったのは良かったと思いますね。
人事の人がこまめに連絡をくれたことや、施設見学で卒論のインタビューをさせてくれたのが好印象でした。今の施設は児童領域も展開していて、内定者懇親会で保育士さんと会えたのは良かったと思います。
採用コンサルタントからのアドバイス
面接でしっかりと話を聞く。よかった点をフィードバックする。内定期間も事業所理解の機会を設けたり、こまめな連絡を行うなど、事業所側の一つひとつの丁寧なかかわりが、学生の志望度を高めていることが分かります。面接などの直接求職者とかかわる機会は、事業所が求職者を見極める場であると同時に、求職者側が自分の働く場としてふさわしいか事業所をチェックする場でもあります。丁寧で誠実なかかわりを意識しましょう。
まとめ
4名の体験談から、インターンシップの参加や就職活動のスタートは画一的ではないことが分かりました。インターンシップの参加率が応募数と比例しないと考えられます。就職活動の途中から介護職に絞る人もいることから、仮に就職活動解禁日の直後に応募数が少なかったとしても気にすることはないのかもしれません。
施設選びの軸はさまざまですが、施設内の雰囲気は外せない条件と言えます。選考中の面接では「真顔で面接に通されたときは志望度が下がった」という発言のように、就活生もスタッフの表情や振る舞いを注視しています。採用する側も“見られている”という意識をもつことが欠かせないでしょう。
入職の決め手も人それぞれですが、内定後のフォローも影響することが分かりました。内定後のフォローも入職につなげるアプローチとして再考・強化して見るのも良いのではないでしょうか。
中編では、入職前・入職後のギャップや研修・フォロー体制への希望についての本音をご紹介します!