こんな上司にはガッカリ!辞めたい気持ちを切り替えた方法は?「新卒介護職の本音座談会」【後編】

2024/08/20

介護・福祉業界の課題といえば採用と定着。KAIGO HR FARMでは「採用と定着のヒントにつながれば」という想いから、2022年卒と2023年卒の介護職4名をお招きして本音座談会を実施しました。前編では就職活動から入職の決め手、中編では入職後のギャップや希望する研修について語っていただきました。

後編では、一緒に働く上司や辞めたいと思ったタイミングについて伺いました。

▶︎前編:インターンシップは参加してる?他業種から介護職を志望する場合も!「新卒介護職の本音座談会」
▶︎中編:入職後はギャップだらけ、本当はもっと上司と話したい!「新卒介護職の本音座談会」

目次

・部下を守る上司は素敵! 現場を知ろうとしない上司にがっかり
・自分のミスで逆ギレするベテラン看護師、服薬事故…どうやって乗り越えた?
・まとめ

Profile 

Kさん 
福祉学部専攻、2023年卒。主に障害福祉や地域福祉を学び、障害福祉施設に入職。現在は施設内の寮で運営・管理を中心に、利用者の生活全般のサポートを務める。
Yさん 
文学部専攻、2023年卒。在学中の北欧留学で老人ホームを視察し、介護・福祉業界に興味を持つ。卒業後は特別養護老人ホームに入職し、現在はショートステイにて介護職に従事。
Mさん 
文学部専攻、2022年卒。サークルの後輩(福祉学科専攻)の話を聞いているうちに介護職の見方が変わり、興味を持ち始める。卒業後は有料老人ホームに入職し、介護職に従事。
Iさん 
福祉学部専攻、2023年卒。中学校の職場体験で介護施設に訪問したことを機に介護職を志し、高校で介護福祉士の資格を取得。現在はサービス付き高齢者向け住宅にて介護職に従事。

部下を守る上司は素敵! 現場を知ろうとしない上司にがっかり

一緒に働いて素敵と思った上司について教えてください。

私の先輩の話ですが、暴れる利用者さんを止めようと押さえた際に、利用者さんを怪我させてしまったことがありました。後日、保護者がいらっしゃって虐待を疑われた時に、上司が防犯カメラの映像を見せながら意図を説明し、「これは虐待ではありません」と先輩をフォローしていました。部下を守ろうとする姿にかっこいいと思いました。

基本的に良い人ばかりです。「何かあれば申し送りのときに話して」と言ってくれるけど、大体残業しているから話すよりも早く帰りたいのが本音です(笑)。

ただ注意するだけでなく、なぜそのやり方がいけないのかを教えてくれる上司は素敵です。根拠があればこちらも納得するし、私のことを考えてくれているんだなと思います。

うちの施設は月に1回、寿司の出前を取るんですけど、ある利用者さんが嚥下の調子が悪くてソフト食しか食べられなくなってしまったんです。それで苛立っているときにすごく理不尽に怒られて。寿司が食べられなくて悔しい気持ちはわかるけど「なんで私に当たるの、もう無理!」と思って上司に話したら「嫌な思いをさせちゃってごめんね」と言われて救われました。

さらに、上司がその方に喜んでもらおうとネギトロを提案したときはかっこいいと思いました。ご本人とご家族に許可をとって試食会も行ったんです。嫌な想いをしたけど、もう少し頑張ろうと思えました。

反対に、残念と思った上司は?

特定の人はいないけど、施設全体として理事長の言いなりで。本当は違う意見でも理事長の一存に従うのを見ると残念です。

残業や研修体制には不満はあるけど、個人的にがっかりしたことはないなぁ。 

本部長は全然現場に来てくれません。現場がどれだけ人手不足なのかわかってないなと。いくら増員してほしいと言っても対応してくれなくて、残念だし悔しくなります。

人手不足なので夜勤の人が利用者さんを朝起こすことになったのですが、それを不満に思って利用者さんへの対応が悪くなった先輩がいます。虐待まではいかなかったけど、大問題になってしまって。残念だったし、人手不足が続くとこういうことが起こるんだなと考えさせられました。

自分のミスで逆ギレするベテラン看護師、服薬事故…どうやって乗り越えた?

―ズバリ、辞めたいと思ったタイミングを教えてください。

入ったばかりの頃は、私も一人ひとりの対応の仕方が分からなく、利用者さんに噛まれたり、蹴られたりしまったりすることが多く、怖くて辞めたいと思いました。だけど今は一人ひとりのことも分かってきたし、全体を俯瞰できるようになってきたので、どう対応すればよいか分かり、トラブルになることも減って、怖さも減りました。

スタッフ間で言えば、ベテランの看護師さんが嫌でした。投薬のチェックをお願いしたとき、間違えていたので伝えると逆ギレされて。理不尽な対応が多くて本当に嫌だけど、看護師は現場に欠かせない存在。“いくら関わりたくなくても関わらないといけないのが社会人”と自分に言い聞かせて割り切りました。

私は社会人になったこと自体が嫌で、1年目はずっと辞めたいと思っていました。もっと休みが多くて給与が高いところへ転職しようと思ったけど、求人情報を見てもあまり変わらないから止めました。

でも、年が明けて今のショートステイに異動してから仕事が面白くなりました。ADLが下がっていても話好きだったり、お酒が好きだったりといろいろな利用者さんに出会える。毎日が発見の連続で楽しくなりました。後輩が入ってきたことも大きいかも。

服薬事故を起こしてしまった時です。違う方に薬を飲ませてしまいました。すぐに対応したから命に別状はなく、施設長がご家族に謝罪してくれましたが、本当に自分を責めました。私に非があるし、まだ乗り越えたわけではないけど、二度と起こさないように確認を徹底し、どんなに忙しくても焦らないように落ち着いて取り組むよう努めています。

ネギトロの件のように、利用者さんに理不尽に怒られたりすると辞めたいと思ってしまいます。それでも気持ちを立て直せるのは上司や先輩のおかげ。フォローしてくれると頑張ろうと思えます。

まとめ

素敵と思った上司のエピソードでは、ピンチのときにフォローする上司が好印象を得ています。一方で残念と思ったエピソードでは、スタッフの声を理解しようとしない上司が挙げられました。両方のエピソードから、現場のスタッフの状況を理解しようとする姿勢の有無によって上司に対する評価は変わることが明らかになりました。

辞めたいと思ったタイミングはそれぞれですが、スタッフ間のフォローや利用者との交流が思いとどまる要因になっています。また、利用者やスタッフ自身の行動パターンや癖を理解することで苦い想いも切り替えて励んでいることが分かりました。