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求職者に魅力が伝わる!採用動画制作における3ステップ

2021/12/08

□新時代の採用手法!求職者に魅力が伝わる動画制作のポイントとは?

動画配信サイトYouTubeや、Twitter・Instagram・FacebookといったSNSの普及に伴い、これらを採用活動で利用する企業も増えています。さらに、新型コロナウイルスの流行も重なり、WEBを活用した「採用活動のオンライン化」がここ数年で一気に加速。

 見学や面談、イベントの来訪といった対面での採用が難しくなってしまった今、求職者に自社の魅力を伝えるのに注目を集めているのが動画です。文字や写真だけでは伝えられない職場の雰囲気や、働く人の人柄を非対面でも伝えることができます。

 実際に新卒採用では、採用動画を視聴して志望度が上がったと答える学生が8割もいたとの結果も出ています。(出展:レバレジーズ株式会社

 しかし、いざ動画を作るとなると頭を抱えてしまう事業者さんも多いのではないでしょうか。どうしたら動画で自社らしさや魅力を伝えることができるのか、採用において効果のある動画とはどのようにして制作したらよいのでしょうか。

 今回のKAIGO HRセミナーでは、実際に採用活動における動画制作等を行う 一般社団法人Honmono協会代表理事 三井所健太郎氏をゲストにお迎えし、「求職者に魅力が伝わる動画制作のポイント」というテーマでお話いただきました。

□動画はコンテンツの1つ、大切なのは「設計図」を作ること

 「動画制作」と聞くと、企業が陥ってしまう落とし穴があります。それが、「よし、動画作っちゃえ!」と勢いのまま動画制作を始めてしまうこと。

「無人島にいいレストランを作っても、誰も来てくれない」と例え話も交え、「いいものを作っても、必ずしも見てもらえるわけではない」と三井所さんはおっしゃいます。

闇雲に作った動画は、自分たちの自己満足、見たい人が見るだけのものになってしまい、採用活動において効果を発揮することは難しいです。では、どうしたらよいのでしょうか。

動画とはあくまでもコンテンツであり、ツールの1つです。

そのため、最初に設計図を作ることが最も重要になります。設計図とは、動画の活用シーンを考え、どこで動画を流すのか。そして、誰に向けた・何のメッセージを動画で伝えたいのか。自分たちの持っている採用メディアと照らし合わせ、求職者にどのようなアクションを起こしてほしいのか、考えることが大切です。

□なぜ、新時代の採用手法として動画が注目されているのか。

ところで、なぜ動画に注目が集まっているのでしょうか。「ここ数年間で、採用活動における動画制作の依頼が急増している」と三井所さんは話します。もちろん、新型コロナウイルスの影響はありましたが、流行以前から動画の需要は高まっていたそうです。

実は、その理由は大きく2つあります。それは、①情報過多 と ②人口減少 です。

インターネットやSNSが発達し、市場に流れる情報量(流通情報量)は2001年時点を1としたとき、2009年と比べると約2倍になっています。しかし、実際に私たちが消費している情報量の増加は、約1割程度にとどまっています。

つまり、流通する情報量は加速度的に増加している一方、消費される情報量はそこまで増加しておらず、情報飽和状態となっていると言えます。このような飽和状態の情報の中から、自分たちの発信した情報が選ばれる必要性があります。

そして人口減少、特に生産人口の減少があげられます。介護業界は慢性的な人材不足という課題に向き合っていますが、その人材不足の波は他業界にも広がっています。2060年には生産人口が高度経済成長期から半減すると言われています。そのため、これまで以上に優秀な人材を採用する競争が激化していきます。

以前から採用における課題として取り上げられていたこの2つに、「採用活動のオンライン化」、言い換えると「非対面での採用活動」が加わりました。

これまでであれば、施設への見学で雰囲気を知ってもらうことや、面談で求職者の人柄を知ることができていました。しかし、対面形式での情報のやり取りができなくなってしまった結果、これからの採用で考えなければならないのが、「限られたリソースで適する人材といかに繋がることができるか」「飽和情報の中から、適する人材の心をいかに動かすか」「非対面でいかに効率よく行うか」の3点です。

そこで「動画」というツールが役に立ちます。

それでは、さっそく動画制作における設計図の作り方を3ステップでご紹介します。

□ステップ1 「目的」と「手段」を設計

効果のある動画を作るために1番大切なのがステップ1、「目的」と「手段」を設計することです。

そこでまず、整理しなければならないのが自社の採用における課題です。

求職者は、就職活動において3段階の心の変化を起こしていきます。

【0だった気持ちが1になる 新規/潜在】
→【1の気持ちが10になる 顕在化】
→【10の気持ちが100になる 行動】、という順です。。

何も知らない状態から、求人広告や、セミナーで施設や事業所のことを知り(新規/潜在)、より詳しい情報を知るために、コーポレートサイトやパンフレットを取り寄せ、理解を深める(顕在化)。その後、ようやくエントリー(行動)へと繋がっていきます。

このような道筋において自社の採用課題はどこにあるのかを明らかにします。
リクルートサイトの閲覧はあるけれどエントリーに結び付いていないのか、広告やオンラインでの集客が弱いのか、内定はしたけれど早期退職者が多いのか、そもそも自社の認知度が弱いのか。まずは現状を明らかにすることで、動画の使われ方も変わってきます。

これらが整理できてから、「目的」と「手段」の設計を行います。

「目的」とは、動画を見た人つまり求職者にどうなってほしいのか、を考えることです。
さきほど見つけた課題から、イベントに来てほしいのか、リクルートサイトを閲覧してほしいのか、ミスマッチを防ぎたいのか、そもそも自社のことを知ってもらいたいのか。求職者に求める行動を考えることが、動画を作る「目的」となります。

「手段」とは、①誰に②どこで伝えるのか、を考えることです。
①誰、はターゲットの設定です。動画をどんな人に見てほしいのか。ここで注意したいのが、どんなターゲットなのかを明確にすることです。
新卒採用であれば、「学生」と一括りにせず、「まだ介護福祉業界に興味がない」学生なのか、「介護福祉業界で働きたい、という想いを持っている」学生なのか、詳しくする必要があります。なぜなら、両者では伝えるメッセージが変わってくるからです。
というのも、両者は先ほどの道筋の中で位置しているところが異なります。

「まだ介護福祉業界に興味がない」学生は新規/潜在層、「介護福祉業界で働きたい、という想いを持っている」学生は、顕在化層となります。
これは中途採用においても同様です。「ライフイベントを機に一度ドロップアウトしている」潜在介護士に届けたいのか、「働いていたけど職場環境や人間関係で辞めてしまった」転職者に届けたいのか、ターゲットは明確に設定します。

ターゲットを考えていくと、②発信するメディアはどこにするのか、も異なってきます。
次のアクションを具体的にイメージすると、②どこに動画を載せるかがはっきりします。広告やリクナビといったペイドメディアを持っていたらショートバージョンの動画でオウンドメディアへ誘導する、オウンドメディアを持っていたらフルバージョンの動画でエントリーに結びつける、見学面談に来てくれた人たちに動画をリマインドし離脱を防ぐ、といったように、「目的」とも連動させながら検討すると「手段」が決まります。

このステップ1を設計し、ようやく動画の中身、コンテンツを設計します。

□ステップ2 「コンテンツ」の検討

 採用動画におけるコンテンツの原則は、「相手が知りたいこと」と「心を動かすこと」を掛け合わせることです。この2つを動画に盛り込むことで、次のアクションに移る=効果のある、動画になります。

※各フェーズごとにペルソナの思考・行動・アクション内容を整理。

「相手が知りたいこと」とは、「人間関係はどうなんだろう」、「休みはとれるだろうか」、「施設の雰囲気は」、といった自社の内側、リアルな部分です。これまで求職者が対面で知ることができた情報や感度を動画に盛り込むことが大切になります。ただ、「相手が知りたいこと」ばかりに偏らず、「自分たちの伝えたいこと」も盛り込むとより動画の魅力がアップします。

「心を動かすこと」とは、動画における醍醐味でもある言語化しにくいものを可視化することです。例えば、「人間関係がいい」、「職場の雰囲気がいい」、と言葉で聞くよりも、実際に職員同士が楽しそうに会話している風景や、利用者さんと接している映像を見せると雰囲気はより伝わりやすくなります。こうした醸し出る人間関係や、利用者さんの表情や雰囲気といったWEBサイトの文字では伝えられない情報が動画では伝えやすくなります。

さらに、心が動く要素として三井所さんがおっしゃっていたのが、「働く地域の映像」です。どうしても施設のことや、職員ばかり映したくなります。ですが、働くということはその場所に住んで、通勤するということです。オフィスの中の一角にあるのか、自然豊かな場所なのか。どういうところに通勤して、夜になったら街はどういう雰囲気になるのか。このような地域の映像を盛り込むと、求職者にとってその場所で働くということがより具体的なイメージになります。

これらの設計を行い、一般社団法人Honmono協会が全国で保育所を運営しているどろんこ会グループと共に制作した動画がこちらになります。この動画は約1年半で15万回再生され、採用においても効果を発揮しました。

どろんこ会グループ 「保育士の一日」 https://youtu.be/eztyP0k5z4k

最後にステップ3は制作・動画の撮影となります。

ここで外部に依頼するのか、自社で制作するのかも検討しましょう。もちろん、外部に依頼することでクオリティの高い動画を作ることができます。ただ、外部の方が撮影するとなると、緊張のため上手く話せなかったり、顔が強張ったりしてしまします。その点、自社で制作すると顔馴染みの職員が撮影者となるため、よりリアルな表情や雰囲気を動画に収めることができるメリットがあります。

「動画制作は、ほとんどがステップ1「目的」と「手段」を設計、ステップ2 「コンテンツ」の検討 になる」、と三井所さんはおっしゃいます。闇雲に動画撮影を始めるのではなく、これらを整理した動画こそが、採用活動で効果を発揮する武器の1つとなります。

今回のセミナーでは動画制作のポイントを踏まえて、実際にこれらを活用した戦略設計書を特別に作成いただきました。さらに動画は、求職者のみならず、不特定多数の方も視聴することができます。未来の利用者や、職員の親族が見たときに満足度の貢献にも繋がるそうです。採用活動における一つのコンテンツとして動画が役に立つ手法であることを学ぶ時間となりました。三井所さん、誠にありがとうございました!

 (文/田邉なつほ)

■講師プロフィール

三井所 健太郎氏 一般社団法人Honmono協会代表理事

 1985年6月生まれ。福岡県出身。KDDI(株)にて法人向けITコンサルティングを担当。 退職後、日本各地のモノづくりの現場を歩き回り、日本の伝統文化が持つ「可能性」と「危機感」を肌で体感する。 前職で培ったビジネス×クリエイティブのスキル、日本各地に眠るアート×カルチャーの力を組み合 わせ、新たな働き方や伝統文化を生み出す為、2019年4月に「Honmono」を設立。 2021年9月現在、各業界で志を持ち活躍する55団体(法人/個人含む)が加盟している。