人材採用につながる学校とのかかわり方とは?(WEB版2025年を生き残る採用セミナー⑦)
2019/02/04
「地域」の担い手を育成する、日本初の本格的な介護経営情報誌「地域介護経営」(発行:株式会社日本医療企画)にて、Join for Kaigo取締役 野沢 悠介が「2025年を生き残る採用セミナー」を連載中です。
介護事業所の採用活動において、大切にすべき視点や、実践例を全12回にわたって紹介させて頂いています。
本サイトでも、WEB版として加筆・修正の上、連載内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。
□介護福祉系の学校の状況
若手人材採用のため、介護福祉系の学校へアプローチをしようという事業所も多いと思います。
ですが、超売り手市場となっている現在、一人の学生に対して何件もの求人が届くことが日常となっています。また、残念ながら介護福祉の学校は、学生数も減少の一途を辿っています。介護福祉士養成校の定員充足率は、平成30年では44.2%と半数を切っており、過去5年で10%以上減少、入学者数は10,392人から6,856人と約3,500人も減少しました。(出展:公益社団法人 日本介護福祉士養成施設協会「介護福祉士養成施設への入学者数と外国人留学生 」)
学生数の減少の中で、採用したい法人は多くなっており、ただ求人票を送る、訪問するだけでは、学校経由の採用は、ますます難しくなっていくことでしょう。
□それでも学校は安定した採用先になれる。
一方で、学校とのかかわりは、しっかりと関係をつくることができれば、安定した採用先として機能します。そこで、今回は学校との関係性づくりのためのポイントをいくつか紹介します。
まず、「学校へのアプローチは個別性が高い」ということを意識していただくことが重要です。大学生はある程度決まったスケジュールはあるものの、福祉系の学生の場合は実習等もあるため、学校ごとに活動の時期・動きが異なる場合があります。このスケジュールを知らずにアプローチをしても効果が薄いため、ターゲット校の学生がどのように活動をし、意思決定しているのかを把握することが求められます。実際に就職担当の教職員や、いるのであればOB・OGにヒアリングすることも良いでしょう。
そして、特に専門学校では就職先の選定に教職員の影響が強いため、教職員にとって「学生を送り出したい」と思える事業所かということが、非常に重要になります。「先輩が働いている」ということが、何よりの安心につながるため、採用実績校であれば、実際に先輩が訪問して仕事の様子を語ったり、活躍の様子を写真に撮り、訪問時に紹介するなどで、教職員にも学生にも、安心して働けるイメージを深められます。
□卒業生がいきいきと働けていることが大切
また、労働市場全体で「働き方」に注目が集まり、学生も給与以上に「働きやすさ」を重視する傾向にあります。教職員にとっても、「卒業生がいきいきと働き続けることができている職場」に学生を送り出したいもの。自社の社員向けの取り組み(福利厚生・休日・育児支援等)については、しっかりアピールすることをおすすめします。この点でも、その学校の学生・教職員の関心の傾向をつかんでおくことが重要と言えるでしょう。
学生・学校側からすれば、大量の求人から自由に職場を選べる時代です。継続的に学校とかかわりをもち、「選ばれる側」として、どのような職場が「就職したい」「学生を送り出したい」と思ってもらえるのか、その視点で自社の取り組みを検証し、PRし続けることが、重要と言えるでしょう。
※本記事は、「地域介護経営 2018年7月号(2018年6月20日発行 No.181)」にて掲載されたものです。(一部加筆をしています。)
【バックナンバー】
Vol.2 採用活動成功の第一歩。「人材要件の定義」を考える。
Vol.4 採用活動に必要なコミュニケーションのポイントは?
Vol.6 採用活動は最上の学びの場? 「全社一丸採用活動」のススメ
【この記事を書いた人】
野沢 悠介 株式会社Join for Kaigo(現:Blanket)取締役
立教大学コミュニティ福祉学部卒業。
大手介護事業会社にて新卒採用担当・産学共同プログラム担当・採用部門責任者等を担当し、年間400~500名規模の介護職新卒採用スキームを構築。
2017年 株式会社Join for Kaigo(現:Blanket)取締役就任し、介護領域全体の人材確保・定着力の向上を目指す。主な実践領域は、コミュニケーション・キャリアデザイン・リーダーシップ・チームビルディング・目標設定等。