資料ダウンロード

介護業界の職種一覧!仕事内容、キャリアアップに必要な資格も紹介

2023/09/19

介護職への転職を検討している方の中には、「介護業界にはどのような職種があるのか」と、気になる方が多いのではないでしょうか。

介護職は、無資格・未経験から始めることができ、知識や技術に磨きをかけ、専門性を高めるほどにやりがいを感じられる仕事です。

そこでこの記事では、介護業界の主な職種と代表的なキャリアパスについて紹介します。あわせて、人事の方に向けたキャリアパスを導入するメリットについても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。

介護の業種はサービス業

総務省が定める「日本標準職業分類」では、介護の業種はサービス業に分類されます。

こう聞いて違和感を覚える方は、「サービス業は接客業のこと。介護は接客業ではない」と間違った解釈をしている可能性があります。

たしかに、飲食業や宿泊業などには接客の仕事が多いため、これらの業種がサービス業のイメージとして先行しがちです。

しかし、サービス業は対面で顧客をもてなすだけでなく、それぞれの専門スキルを生かして、形のないサービスを提供する仕事でもあります。

そのため介護職は、専門知識やスキルをもとに利用者の自立支援を行う職業であることから、サービス業に分類されているのです。

介護業界の主な職種

介護業界には多種多様な職種があり、業務内容や求められるスキルもさまざまです。ここからは、主な職種の概要とその職種に就くための方法についてみていきましょう。

介護職員

介護職員とは、利用者の日常生活のサポートや生活援助を行う職種を指します。

事業所によって業務内容に違いはあるものの、主に利用者の食事や入浴、排泄などの世話や、部屋の掃除、洗濯のほか、レクリエーションを行う場合もあります。

介護職員は無資格でも仕事に就けますが、食事や入浴など利用者の身体に触れる必要のある身体介護を行うには、介護職員初任者研修修了以上の資格が必要です。

訪問介護員(ホームヘルパー)

訪問介護員は、介護が必要な方の家庭へ訪問し、食事や入浴、排泄といった日常生活の援助を行う職種で、ホームヘルパーと呼ばれることもあります。

訪問介護員の場合は家事支援や身体介護を一人で行う機会が多いため、介護職員初任者研修修了以上の資格が必須となっています。

介護助手・介護補助

介護助手・介護補助は、主に入所施設やデイサービス施設で介護福祉士などの職員が業務に集中できるようサポートする職種です。

利用者の介助を直接行うことはなく、清掃やベッドメイキング、食事の配膳など間接的に利用者の生活をサポートします。

利用者の介助を直接行うことはないものの、縁の下の力持ちとして大きな役割を果たす重要な職種です。無資格でも仕事に就けますが、最終的には初任者研修を修了し、介護職員として活躍する方も多くいます。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアマネジャーは、利用者一人一人の状況にあわせた介護サービスを提供できるよう、介護計画の立案を行う職種です。利用者と介護サービス事業所との間で連絡調整などを行い、介護給付費の管理やケアプランの変更、チェックも行います。

ケアマネジャーとして働くには、介護支援専門員の資格を取得する必要があります。容易に取得できる資格ではありませんが、就業先は介護施設や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所など幅広く、介護業界全体での活躍が見込めます。

生活相談員・支援相談員

生活相談員・支援相談員は、介護施設が利用者を受け入れる際に、利用者や家族への説明、各種手続きや関係機関との調整といった、窓口業務を担う職種です。

生活相談員は、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム、通所介護事業所などの高齢者福祉施設で働く人を、支援相談員は、介護老人保健施設で働く人を指します。

高齢者福祉施設は利用者の日常生活の支援を目的としているのに対し、介護老人保健施設は利用者の社会復帰を目的としているため、生活相談員と支援相談員では利用者からの相談内容が異なります。


また、 生活相談員として働くには、一般的に社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかの資格を取得しなければなりません。ただし、自治体によっては独自の要件を設けているケースもあるため、確認が必要です。

一方で、支援相談員として働くための必須資格はありません。しかし、社会福祉士などの資格保有者を採用条件としている事業所も多いため、介護福祉士、精神保健福祉士、社会福祉士などの資格を取得しておいたほうが就職に有利といえます。

サービス提供責任者

サービス提供責任者は、訪問介護事業所で利用者により良いサービスを提供できるよう、責任者としてホームヘルパーの管理や指導を行う職種です。利用者とホームヘルパー、ケアマネジャーをつなぐパイプ役として、連絡調整なども担当します。 

サービス提供責任者になるためには、介護福祉士資格を有していること、または介護福祉士実務者研修を修了していること、のいずれかの条件を満たす必要があります。

管理者(施設長・ホーム長)

管理者は、事業所全体を統括する責任者です。施設によっては施設長やホーム長とも呼ばれます。利用者の対応をはじめ、職員の育成や収支の管理などマネジメントを担います。

管理者になるための必須資格はないものの、施設によっては実務経験や講習会受講が必要な場合もあります。一般的には、介護職員として入社し管理者へキャリアアップするという場合がほとんどです。

介護事務・受付

介護事務は、介護報酬請求業務(レセプト)を行うほか、電話や来客の受付対応、備品の管理といった一般事務も行います。介護事業所の業務が滞りなく進むよう、スタッフ皆を支える職種です。

資格や介護の実務経験がなくても仕事に就けますが、介護保険制度や専門用語への理解は不可欠です。介護事務管理やケアクラーク、介護報酬請求事務技能検定などの資格を取得しておくと選考の際のアドバンテージになり得るうえ、実務に生かすこともできます。

管理栄養士・調理スタッフ

介護施設では、管理栄養士が利用者の献立作りや栄養指導を行い、調理スタッフが管理栄養士が作成した献立をもとに調理を担当します。

利用者の中には、ミキサー食や流動食しか食べられない方もいるため、個人の身体状況に応じたメニュー管理や調理の工夫が大切です。

そのため、管理栄養士には、利用者それぞれにあった栄養ケア計画を作成して実行するなど、高度な栄養管理が求められます。

管理栄養士として働くには、養成施設に入学し栄養士資格を取得したうえで、管理栄養士国家試験に合格しなければなりません。一方、調理スタッフは必ずしも調理師免許が必須ではなく、無資格でも就業できます。

機能訓練指導員

機能訓練指導員は、利用者が自立した生活を送れるよう介護施設で訓練を行う職種です。介護施設の利用者全体の身体機能強化を目的とした集団リハビリのほか、一人一人に行う個別リハビリも実施します。

機能訓練指導員として働くには、以下の7つの資格のうち、いずれかを保有している必要があります。

・看護師または准看護師
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・あん摩マッサージ指圧師
・柔道整復師
・鍼灸師

ただし、鍼灸師が機能訓練指導員になるためには、鍼灸師以外の機能訓練指導員がいる施設での実務経験が6カ月以上必要です。

福祉用具専門相談員

福祉用具専門相談員は、ベッドや車いすなどの福祉用具を利用する方の状況にあわせて、福祉用具の選び方や使い方をアドバイスする職種です。ケアマネジャーと相談しながら、福祉用具の利用方法についての計画を立てるほか、事故防止のために用具の点検やメンテナンスも行います。

福祉用具専門相談員として働くには、福祉用具専門相談員指定講習を受講のうえ、終了評価試験に合格し資格を取得する必要があります。

また、介護福祉士や社会福祉士、保健師、看護師または准看護師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士といった資格を保有している方は、そのまま福祉用具専門相談員の業務を行えます。

生活支援コーディネーター

生活支援コーディネーターは、地域の高齢者に向けて生活支援や介護予防サービスの提供を行う職種です。

配属先は地方自治体によって異なり、市役所や社会福祉法人などに所属します。また、地域によっては「地域支え合い推進員」と呼ばれることもあります。

生活支援コーディネーターになるための必須資格はないものの、正社員として働く際にはケアマネジャーや社会福祉士などの資格が求められる傾向にあります。

介護認定調査員

介護認定調査員は、要介護認定の調査に携わります。介護サービスの利用を希望する方に対して聞き取り調査を実施し、どの程度の介護や支援が必要な状況かを詳しく把握します。

介護認定調査員になるには、以下21種類の資格のうちいずれかを有し、かつ資格取得後の介護現場での実務経験が5年以上ある、もしくは認定調査に携わった経験が過去に1年以上という条件を満たす必要があります。

【 介護認定調査員になるために必要な資格 】
医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科衛生士・栄養士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・視能訓練士・義肢装具士・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師

そして、都道府県が実施している認定調査員研修と、都道府県が委託している市町村の研修を修了することで、介護認定調査員になることができます。

介護職の代表的なキャリアパス

キャリアパスとは、組織に属する職員がある職位や役職に就くために必要な経歴と、そこにたどり着くまでの道筋のことです。


未経験から介護職をスタートする場合の代表的なキャリアパスとして、初任者研修、実務者研修、介護福祉士という順に資格を取得していく方法があります。

ここからは、3つの資格の概要と資格をどのように生かせるかについて、それぞれ順に解説します。

STEP1 介護職員初任者研修の取得

介護職員初任者研修は、未経験・無資格から介護職をスタートする方が、最初に取得を目指したい資格です。修了すると、身体介護や生活援助など、介護業務全般を行えます。

資格の取得には、所定のスクールへの通学またはオンラインの併用で座学と実技の受講が必要です。受講時間は130時間で、修了試験に合格すれば資格を取得できます。介護の基礎的な知識全般について学べるため、習得した内容を毎日の業務に役立てられます。

STEP2 介護福祉士実務者研修の取得

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格です。介護福祉士国家試験の受験要件の一つであるため、介護福祉士を目指す方は必ず取得しなければなりません。

介護福祉士実務者研修では、介護職員初任者研修よりも広範な介護の知識や技術を習得できます。喀痰(かくたん)吸引や経管栄養などの知識も学べるうえに、別途実地研修を受けることで実際に喀痰吸引などを実施できるようになるため、仕事の幅が大きく広がります。また、資格を保有すると、サービス提供責任者への就任も可能です。

STEP3 介護福祉士の資格取得

介護福祉士は、介護分野における唯一の国家資格です。専門的な知識と技術を生かし、利用者の身体面や精神面のサポート、現場職員の指導や育成などを行えます。

また、介護福祉士の受験資格を得る方法には、以下3つのルートがあります。

1、 指定養成施設で2年以上学んで卒業する
2、 福祉系高校で指定の科目・単位を取得して卒業する
3、 3年以上の実務経験および実務者研修を修了する

介護福祉士国家試験の受験者の中には、「3」の実務経験ルートの方が多くみられます。介護福祉士の資格を保有していれば、昇給や転職もしやすく、介護業界で仕事をするうえで有利になるでしょう。管理職になったり、新人研修を任されたりするなど、取得を機に仕事の幅を広げる方も大勢います。

【人事向け】介護現場でキャリアパスを導入するメリット

介護の仕事は、資格がなくても就ける職種がある半面、本当にやっていけるのか不安に思う方が少なくありません。

しかし、現場でキャリアパスが導入されていれば、今後の道筋がみえやすくなり、より多くの方に介護業界に参入してもらえる後押しにつながる可能性もあります。ここでは、介護現場でキャリアパスを導入するメリットについて解説します。

1、 未経験人材の後押しになる

介護の仕事には、無資格では就業できない職種がある一方、無資格・未経験からでも就ける職種があります。そのぶん、挑戦しやすい部分があるものの、キャリアアップに不安を感じる方も多いです。

しかし、介護現場にキャリアパスが導入されれば、目標や将来像をイメージしやすくなり、未経験者が介護業界へ新規参入する後押しにつながります。

2、 人事評価の土台にできる

キャリアパスを導入する際には、それぞれの階層の業務内容と求められるスキルや資格をもとに整理していくことになります。

そのため、ある段階の基準を満たした職員であれば次の段階へ、というように人事評価の土台にできます。これにより、人事の負担軽減や適正な評価の実施につなげられるでしょう。

3、 職員の離職防止につながる

キャリアパスの導入により、職員の離職防止にも期待できます。先々のキャリアがみえれば、職員のやりがいの醸成や向上心の喚起につながるからです。

目標を設定しやすくなり、モチベーションが下がりにくくなれば、離職を防ぎ優秀な人材の流出を防ぐこともできるようになるでしょう。

なお、Blanketでは、介護・福祉事業者に特化した採用・育成・定着支援サービスを行っております。

介護現場における求人や人材育成にお困りの人事担当者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

介護の働き方やキャリアに触れてみる

介護業界には多くの職種があり、仕事に生かせる資格も多数存在します。無資格・未経験から始められる仕事もありますが、資格取得によって担当する業務の幅が広がるほか、将来的なキャリアアップにもつながります。

また、介護職について詳しく知りたい方、介護現場での働き方やキャリアについてよりリアルな情報を知りたい方には、介護に関心を持った仲間が集うオンラインコミュニティ「SPACE」がおすすめです。

「SPACE」では、介護に関する情報交換ができるほか、メンバー限定の定例会をとおして新たな人とのつながりを得られます。

介護に関心をお持ちの方は、ぜひ気軽にご活用ください。