介護の人事辞典その3「採用ターゲットとペルソナ」

2024/10/18

KAIGO HR FARMのInstagramでご紹介している介護・福祉事業所の人事担当者に知ってもらいたい用語をご紹介する「介護の人事辞典」で取り上げた語句について、詳しく解説します!

第三回は、「採用ターゲットとペルソナ」です。

介護福祉業界の人材採用は、単に人手を確保するだけでなく、事業所の価値観に共感し、長期的に活躍できる人材を見極めることが重要です。
そのためには「採用ターゲット」を明確に設定することが欠かせません。採用ターゲット設定の意義と、具体的な施策への落とし込み方として「ペルソナ設定」を紹介します。

採用ターゲットを定めることは、なぜ重要?

採用ターゲットとは、「どのような人物に働いてもらいたいか」という方針を明確にすることです。この設定がないと、採用活動全体の方針がぶれ、求職者に自社の魅力や価値が伝わりにくくなります。採用活動はただ求人枠を埋めるためではなく、自社に合う人材を迎え、活躍・定着してもらうためのものです。

一方で、「ターゲットを絞りすぎると応募者が減るのでは?」と懸念する事業者も少なくありません。しかし、むやみにターゲットを広げると、施策が散漫になり、結果として魅力が伝わらず応募が集まりません。大切なのは“絞り込み”ではなく、方向性の明確化です。

採用ターゲット設定の具体的ステップ

1. 理想の人材像を整理する

まず、組織にとってどのようなスキル・経験・性格の持ち主が理想的かを具体的に考えます。介護・福祉業界では人材不足のため、「誰でもいい」という姿勢になりがちですが、採用基準を曖昧にすると入職後のミスマッチが増え、離職リスクが高まります。

  • 必要なスキルや資格:介護福祉士、初任者研修修了など
  • 求める性格や特性:意見が異なる場合も相手の立場を尊重して向き合える、突然の出来事にも柔軟に考えられる
  • これまでの経験:福祉業界での実務経験がある、接客業経験者、福祉を学校で学んでいるなど

これらの人物像を検討する際は、できるだけ多くのメンバーで意見交換をしながら、より具体的かつメンバー間の目線が合うように深掘りをすることが重要です。「優しい人」「元気のよい人」「コミュニケーション力のある人」と言っても、その言葉でイメージするものが、人によって意外と異なることも多く、「“優しい”って、つまりこういうことだよね」「うちの組織でいう“コミュニケーション力がある”というのは…」といった目線合わせを行うことで、組織が本当に求める人物像が整理されていきます。

もちろん「理想的な人材が必ず採用できるとは限らない」という懸念はありますが、まずは自社が求める人物像を明確にすることが施策の第一歩です。

2. 現在の職員の分析からターゲットを見出す

次に、現在活躍している職員や、自社に興味を持つ人の共通点を見つけましょう。なぜ彼らが入職し、今も働き続けているのかを把握することで、採用ターゲット像のヒントが得られます。以下のような観点で調査を進めると良いでしょう。

  • 現在働く職員の属性:年齢層、前職、出身地
  • 職員がこの職場を選んだ理由:「職場の雰囲気が良い」「理念や考え方に共感した」など
  • 職員が感じる職場の魅力:人間関係、働きやすさ、風通しの良さなど

これにより、「理想の人材」と「興味を持ってくれる人」の重なる部分を特定し、より現実的な採用ターゲットを設定できます。

ペルソナを作って、試作に活かそう!

採用ターゲットを明確にした後は、「ペルソナ設定」を行うことで、具体的な施策をより効果的に展開することができます。

ペルソナ設定とは?

ペルソナ設定とは、理想的な応募者像を具体的に描くマーケティング手法です。以下のような項目で想像力を働かせ、1人の「理想的な応募者」を詳細に設定します。

  • 基本情報:性別、年齢、居住地
  • 職業と経歴:現在または前職の内容、どのような経験があるか
  • ライフスタイル:趣味や休日の過ごし方、家族構成
  • ニーズ・価値観:「働きやすい環境」「キャリアアップを重視」など

このように具体的なペルソナを設定することで、「この人ならどんな言葉が響くか」「どのような施策を打てば興味を持つか」を明確にイメージでき、採用活動の方針をぶれずに進めることができます。

ペルソナ設定の運用と改善

ペルソナ設定は、一度作って終わりではありません。採用活動の結果を分析しながら、必要に応じてペルソナを見直し、改善することが求められます。

例えば、当初想定したペルソナに響く施策が効果を上げなかった場合、次のような見直しが考えられます。

  • ペルソナ(ターゲット自体)を変えてみる(年代、性別、経験など)
  • 改めてペルソナが何を期待するかをリサーチし、施策を変える

このように、仮説と検証を繰り返しながら、より適切なターゲットに合わせた施策を洗練させていくことがポイントです。

まとめ

介護福祉業界における人材採用では、採用ターゲットの明確化が活動の成否を分けます。「誰でもいい」という姿勢ではなく、理想の人材像を描き、現在の職員や応募者の特徴を踏まえた現実的なターゲットを設定することが重要です。そして、ターゲットに応じた具体的なペルソナを設定することで、より効果的な施策を展開できるようになります。

採用活動の成功は、事前準備の質にかかっています。ぜひ「どのような人に働いてほしいか」を明確にし、ペルソナ設定を活用した戦略的な採用活動を進めてください。

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