採用計画のスタートは、「採用のゴール」を考えることから。|介護・福祉事業者の採用計画づくり②
2021/05/12
■ 明確なゴールのない計画は、計画として機能しない。
突然ですが、皆さんの事業所では、なぜ採用活動を積極的に行っているのでしょうか?
- 欠員補充を解消するため。
- 事業拡大や、新規事業の展開を進めるため。
- 現在の組織の課題を解決するため。
- 組織に新しい風を吹き込むため…。
採用活動を行う事業者には様々な「採用活動を行う理由」があり、複数の理由が存在していることも多いと思います。
「介護・福祉事業者の採用計画」にあたっての考え方を紹介する本連載、第一回では「超売り手市場」の介護・福祉業界で、よい人材を確保するためには、闇雲な採用活動ではなく、より計画的な採用活動が求められるというお話をしました。
「誰でもいいから採用したい」「何となく過去の取組を続けている」といった、闇雲な、行き当たりばったりな採用活動で、この人材不足の時代を乗り切ることは難しく、本気でよい人材採用をしたいと考える介護・福祉事業者は、しっかりと採用計画をつくることから、自社の採用活動を見直すことが重要です。
そして、採用計画の最初のステップは、「採用の目的を明確にする」ということです。
採用計画に限った話ではありませんが、目的(ゴール)のはっきりしていない計画は、計画として機能しません。
今回は、採用活動で考えるべき、ゴール設定のポイントを整理してご紹介しますので、計画作成の参考にしていただけると幸いです!
■ 「採用を通して実現したいこと」から、採用目的を考える。
採用計画の目的を考える際に重要なのは、「ゴールをどこに置くか?」という視点です。
前述の「欠員補充」や「新規事業への着手」「組織の抱える課題の解決」といった項目は、一件目的のように見えるかもしれませんが、よくよく考えてみると、欠員補充をした先、新規事業を進める先、今見えている組織の課題解決の先…に、組織・法人としてより大きなゴールが存在しているはずです。
これも採用に限った話ではありませんが、よりよい計画設計をする際には、計画達成をした際に最終的に到達したい状況(ゴール)を予め定め、「そのゴールに近づくために、何が必要か?」という視点で、一つひとつの項目を定めていくことが必要となります。
採用計画に照らし合わせて考えてみると、以下の視点で目的を明確にすることが重要です。
①組織における課題や、「今は出来ていないけど実現したいこと」を整理してみる。
まずは関係者間で組織の現状を整理してみましょう。抱える課題や解決したいことが何なのか?
今できていないことで、将来的に実現したいことは何なのか?
そして、それらは組織や法人の理念や目指す姿と連動しているか?
一度、客観的に状況を整理することで見えてくるものが多くあるはずです。
②「採用で解決・実践できる事項であるか?」をチェックする
ある程度、組織の中で取り組みたいテーマが定まったら、次はそのテーマが本当に採用で解決できるかを検証します。
組織・人事の課題は、入口部分の採用だけでは解決できず、入職後のサポートや人事諸制度の整備、環境改善などが必要な場合も多くあります。
「人材採用だけではカバーできない」という場合は、採用計画だけではなく、別方面からのアプローチも検討が必要です。
③採用における具体的な目標値・ターゲットを決定する
「なぜ、私たちは採用活動をするのか?」「採用活動を通して実現したいこと・組織の在り方とは?」ということが見えてきたら、それをもとに採用目標値や採用したいターゲットを明確にしていきます。(詳細は後述・次回以降に紹介します!)
これらのプロセスを経ることで、結果的に誰にも魅力が届かず結果が出にくい「闇雲な採用活動」から脱却し、到達したいゴール(目的)から逆算した、結果につながる計画的な採用活動が可能になります。
■ タイプの異なる2つの視点が、採用計画を強化する。
採用活動を通して目指す姿ー「目的」が明確になったら、その実現のために具体的に達成したい数値や指標ー「目標」を設定しましょう。
目標は、組織・法人の目標によって、どのようなものを規定すべきかは異なりますが、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 採用人数 ⇒ 職種ごとに採用すべき人数は何人か?
- 採用時期 ⇒ いつまでに採用を成功させたいか?
- 採用費用 ⇒ 一名採用するにあたって、どのくらいの費用を使うか?
- 人材要件 ⇒ どのようなスキルや経験、マインドを持った人材を採用すべきか?
上記のような情報が最終的なゴール(目的)に沿う形である程度整理されていると、具体的なアクションも計画しやすくなります。
この際に意識していただきたいのは、「短期的視点」と「中長期的視点」の双方を意識した目標設定を行うことです。
ここで言う「短期的視点」とは、例えば「今の欠員状況が〇名だから、〇名採用したい」といった、今まさに起きている課題や向き合いたいテーマに即した目標で、「中長期的視点」は「〇年後にこのような組織になっていたい」といった、少し先を考えた目標です。
「短期的視点」のみで目標設定をしてしまうと、目先の課題解決にばかり意識が行き、採用数や「採用する」ということが目的化してしまい、ミスマッチにつながる採用が増えるリスクが生じます。
一方で、「中長期的視点」のみでの目標設定は、理想論に終始してしまい、目の前の課題解決がいつまでも進まないということにつながりかねません。
「短期的視点」から「今すぐにやるべきこと」を洗い出しつつ、「中長期的視点」を通して「時間をかけて取り組んでいくべきこと」も考える。このようなバランスの良い視点を持つことができると、本当の意味で組織に必要な採用計画を組むことが可能です。
■ 採用目的は、ゴールでもあり、計画のスタートでもある。
高齢化の進展でニーズは拡大する一方、働き手世代の人口が減少する中、介護・福祉事業者にとって、採用活動は一筋縄ではいかぬとても難しいものです。一度立てた計画もなかなか上手くいかなかったり、市場や組織の変化により、方針転換を迫られることもあるはずです。
そんな時は、もう一度原点に立ち戻り、「私たちはなぜ採用をするのか?」ということを考えてみましょう。
- そもそも、何のために採用をするの?
- 採用を通して実現したいことは?
- 採用を通して解決したい課題は?
- 採用が上手くいったときに、どんな組織でありたい?
改めてゴールを意識し、今できること・やるべきことを考えることで、新たな打ち手や方針が見えてくることもあるはずです。
採用の目的(ゴール)を考えることは、採用計画の出発点(スタート)に非常に重要なプロセスです。
よりよい採用活動のために、一度立ち止まって考えてみましょう!
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① 採用目的の明確化
② 採用ターゲットを設定
③ターゲットを意識した採用企画
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【この記事を書いた人】
野沢 悠介 株式会社Blanket取締役
1983年生まれ。東京都出身。立教大学コミュニティ福祉学部卒。ワークショップデザイナー。2006年株式会社ベネッセスタイルケアに新卒入社し、採用担当・新卒採用チームリーダー・人財開発部長などを担当。介護・福祉領域の人材採用・人材開発が専門。2017年に参加して株式会社Join for Kaigo(現 Blanket)取締役に就任。介護・福祉事業者の採用・人事支援や、採用力向上のためのプログラム開発などを中心に「いきいき働くことができる職場づくり」を進める。