【介護の転職事情Vol.3】転職経験者の声から考える「法人Webサイト・SNSの効果的な使い方」

2024/09/04

株式会社Blanket(本社:東京都文京区本郷3-40-10 代表取締役:秋本 可愛)が運営する、介護・福祉業界の”よいチームづくり”のためのプラットフォーム「KAIGO HR FARM」は、73人の介護職に転職したきっかけや転職活動の実態、入職後の感想についてアンケート調査を実施しました。

前回は転職活動時の情報収集について考察しましたが、今回はBlanketによく質問をいただく法人のWebサイトとSNSについて、転職経験者の声を基に活用方法を考察していきます。

▶︎【介護の転職事情Vol.1】転職経験者の声で分かった「離職防止のポイント」。鍵となるのは“2段階制”
▶︎【介護の転職事情Vol.2】転職経験者の声から探る「求人媒体の有効活用法」

調査サマリ

・転職活動中に現在の職場のWebサイトを見た人は64.4%、見なかった人は31.5%
・法人のWebサイトであると良いと思うコンテンツ1位は「従業員の声やインタビュー」
・転職活動中に現在の職場のSNSを見た人は28.48%、見なかった人は41.1%
・法人のSNSであると良いと思うコンテンツ1位は「日々のケアや活動の様子」

調査背景

「KAIGO HR FARM」は、主に採用、人材育成、職員定着、働きやすい職場づくりをテーマに業界内外の好事例や求職者・介護職員のリアルな声をお届けし、介護・福祉業界の人事・経営者の皆さんが現場で活かせる知識やノウハウをお伝えします。

今回は、業界の課題である採用・職員定着の改善策を見出すべく、転職経験者に転職したきっかけや転職活動中の情報収集、選考中の実態についてアンケート調査を実施しました。

多くの求職者は、転職活動で法人のWebサイトをチェックする

転職活動中に現在の職場のWebサイトを見たのかどうかについて質問すると、「見た」が64.4%、「見なかった」が31.5%、「見たかったがみつからなかった」が4.1%という結果になり、約7割の求職者が転職活動中に事業所のWEBサイトを見ようとしていたことが分かり、WEBサイトのニーズが高いことが分かります。

前述の質問で「WEBサイトを見た」と回答した人に、法人のWebサイトを見たタイミングについて聞いてみると(複数回答可)、1位「求人情報を探している際」33.3%、2位「法人を知った後に、選考を受けるかどうか検討している際」31.9%、3位「選考活動中、理解を深める情報として活用する際」23.2%という結果になりました。選考を受ける前、理解を深めるために見ている人が比較的多いことが分かります。

WEBサイトでしっかりと事業所や業務内容への理解が深まる情報発信を行っているか否かで、求職者の選考参加をするかしないかの意思決定にも、一定の影響を与えていることが分かります。

法人のWebサイトを見たことによって、どのくらい入社に影響したのか調べました。「見た」と回答した人に、サイトを閲覧して得られた情報が現職への応募や入社に影響したのかどうかを0から4までの5段階評価で聞いてみると、1位「2」42.6%、2位「3」38.3%、3位「4」19.1%という結果になりました。法人のWebサイトを見てマイナスになった人はいないことから、適切な情報発信がプラスの影響につながると言って間違いないでしょう。

情報収集や法人・事業所理解のために、法人のWEBサイトは必要かどうかを聞いてみると、1位「必ず必要」63%、2位「どちらかと言えば必要」23.3%、3位「必要ない」8.2%という結果になりました。9割近くの人がWEBサイトの必要性を感じているので、求人活動ではWEBサイトの積極的な活用は不可欠と言えるでしょう。

求職者に求められているのは、職員や現場のリアル。

では、具体的に求職者がWEBサイトに求めていることはどのようなことなのでしょうか?前述の質問で「法人のWEBサイトは必ず必要」、「どちらかといえば必要」と回答した人に、法人のWEBサイトであると良いと思うコンテンツを聞いてみると、1位「従業員の声・インタビュー」8.9%、同率2位で「法人概要・運営方針」、「職場の写真・動画ツアー」、「給与レンジ・昇給の仕組み」8.7%でした。 

サイトを見た際に参考になった、プラスに影響した体験についても具体的に聞いてみると、以下のコメントが寄せられました。

募集要項に書かれている条件などの基本情報以外に、職場の運営方針や職員の声などを聞き、理解を深めることができる情報も掲載することで、求職者にプラスの印象へとつなげることが可能です。

 サイトを見てマイナスに影響した体験についても質問すると、以下のコメントが寄せられました。

事実と異なることを書かれているのはもちろんですが、更新頻度が低かったり、詳細が述べられていなかったりすると求職者は不安に感じてしまうようです。一定の更新頻度を保ち、研修制度など求職者が知りたい情報は可能な限り詳細を記載したほうが良いでしょう。

法人のSNSを見たいと思う人は多数、必要と感じている人は6割以上

次に、SNSでの情報発信について聞いてみました。転職活動中に現在の職場のSNSを見たのかどうかを聞いたところ。「見た」と回答した人は28.8%とWEBサイトと比較すると少ない結果となりましたが、「見たかったが見つからなかった」という人も加えると、6割弱の求職者が転職活動でSNSでの情報収集を行ったり、「したい」と考えていることが分かります。求人活動でのSNS活用については、まだ実施をしている介護事業所も多くはない現状がありますが、求職者の「SNSで情報を得たい」というニーズに合わせて、SNSでの発信も交えることが効果的と考えられます。

では、どの段階でSNS を見ているのでしょうか。前述の質問で「見た」と回答した人に、法人のSNSを見たタイミングについて聞いたところ(複数回答可)、「求人情報を探している際」66.7%、2位は「法人を知った後に、選考を受けるかどうか検討している際」16.7%、3位「選考活動中、理解を深める情報として活用する際」12.5%という結果になりました。施設への理解を深めるためにWebで検索している最中にSNSを見つけたと考えられます。

「見た」と回答した人に、法人のSNSを閲覧して得られた情報は現在の職場への応募や入社に影響したのかどうかを5段階評価で聞いてみると、6割以上の人が「影響したと回答しており、法人のWebサイトと同様に一定数の人にとってプラスにつながっていると言えます。

情報収集や法人・事業所理解のために法人のSNSは必要かどうかを質問すると、6割弱の求職者が「必要」と回答しています。こちらに関しては法人のWebサイトよりも意見が分かれていますが、特に若い世代ではSNSを積極的に活用する人も多く、若手人材にアプローチをしたいと考えるのであれば、SNSも有効な発信ツールとなりそうです。 

前述の質問で「必ず必要」、「どちらかといえば必要」と回答した人に、法人のSNSであると良いと思うコンテンツを聞いてみると、1位「日々のケアや活動の様子」10.8%、2位「企業文化や価値観の紹介」6.8%、「一日の流れを紹介する投稿」6.5%といった形で、テキストだけでは伝わりづらい職場や仕事の様子、雰囲気を知りたいといった声が多くありました。

まとめ

今回は、転職活動中の情報収集の中でも法人のWebサイトとSNSに着目し、転職経験者の声を基に活用方法を考察しました。

 どちらも見ている求職者は多く、見ているタイミングが選考前であり、見たことによって施設に応募・入職する際にプラスに働いていました。このことから、適切な情報発信ツールとして有効活用したほうが良いと言えます。

 転職活動以外でもWebでの情報収集は当たり前になっていることを考えると、Wedで施設の情報を発信することは必須であり、生命線と言えるのではないでしょうか。発信する内容は、今回ご紹介した「あると良いと思うコンテンツ」を参考にしたり、取り上げやすいネタを発信してみると良いでしょう。

何よりも、定期更新を意識して継続発信することが大切です。一気にWebサイトとSNSを更新するのが難しければ、まずは一つのメディアに特化して定期更新の習慣化を意識してみてはいかがでしょうか。

《調査概要》
・調査期間 :2022年6月10日 – 7月4日
・調査機関(調査主体):KAIGO LEADERS LAB.
・調査対象:転職経験のある全国の介護・福祉従事者
・有効回答数(サンプル数):73
・調査方法(集計方法、算出方法):インターネットリサーチ(無記名式)