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訪問介護業界の常識を覆す!年間1,000名、新卒200名を採用。管理者の49%が新卒入社の秘訣とは【ケアリッツ・アンド・パートナーズ】

2023/08/17

コロナ禍が落ち着き、採用市場では介護・福祉業界に限らず、求人数が大きく伸びています。人材獲得が厳しくなっている中、より工夫した採用戦略や定着施策が求められてくるでしょう。

高い成長率を誇るケアリッツ・アンド・パートナーズ(以下、ケアリッツ)では、設立3年目から新卒採用を実施。その数は年々増え、2023年4月には応募総数約2,000名を集め、200名の優秀な人材を確保しました。中途採用も好調で、1ヶ月約70名、年間約1,000名が入社しています。

今回は、ケアリッツの皆さんに採用活動における取り組みと、働きやすい組織作りの秘訣についてお伺いしました。

【インタビュイー】

写真左:サービス提供責任者 工藤 勇希さん
写真中央:取締役  太原 有理さん
写真右:人事部長 木内 愛さん

採用段階でそれぞれの志向に沿ったキャリアパスを

企業理念の1つ「社会全体で福祉事業を支えるために、若年層の雇用促進と育成を図り、福祉を通じて社会貢献を目指します」にある通り、若手人材採用に実績を持つケアリッツ。訪問介護の平均年齢はとくに高く54.4歳であるにもかかわらず、ケアリッツの平均年齢は38.7歳と、若手が活躍しています。

新卒採用では、介護現場にじっくり向き合いたい「プロフェッショナルコース」と、1〜2年で管理者を目指す「マネジメントコース」の2つに門戸を分けています。

取締役の太原さんは、経緯についてこう語ります。

「新卒の採用方針としては、当初は事業拡大のため新しい風を吹かせるような、マネジメントができる人材がほしいと考えていました。福祉業界での経験がないからこそ、見える視点もあるからです。ただ予想以上に、介護という仕事そのものに興味を持ってくれている学生も多かったんです。優秀な人材を逃したくないと、プロフェッショナルコースも増設しました」

マネジメントコースの魅力は、1〜2年目から管理者として活躍できること。早期登用を明確にしている会社は希少なため、腕を試したい学生にとって嬉しい部分でしょう。現に入社するのは、小売、飲食、不動産などの業界と並列で検討した、他業界でも最前線で活躍できるようなゼネラリスト人材が中心だといいます。

一方で、プロフェッショナルコースは、介護福祉業界をはじめ、人と接する仕事がしたい、社会の役に立ちたいといった学生が多く、比較的自分のペースで現場にじっくり向き合うことができます。

「2023年の入社割合は、マネジメントコースが4割で、プロフェッショナルコースが6割です。以前は圧倒的にマネジメントコースの方が多かったのですが、企業規模が大きくなるにつれ、プロフェッショナルコースを志望する学生も増えています。コロナ禍を経て、安定した仕事を選びたいと考える人材が増えているのでしょう。マイペースにいろいろな方向にキャリアアップできるのが心地よい、という今の学生の特徴でもあるかもしれません」

と人事部長の木内さんは分析します。

キャリア志向が多様化する中、それぞれの意図にマッチしたポジションを明確に示すことが重要ですね。

訪問介護業界では異例!雇用形態は正社員をメインに

ケアリッツでは、サービスの8割以上を正社員が提供しており、社内でキャリアアップをしていけば年収1,000万円も目指せる環境だといいます。

男性:女性は4:6程度。訪問介護業界では珍しく、男性も多く活躍している会社だと太原さんは話します。

「今まで訪問介護で正社員という選択肢はあまりありませんでした。正社員雇用が少ない分、訪問介護業界は男性が少なかったのですが、ケアリッツでは正社員雇用を中心としているため、男性からの応募も多いんです。男性社員が多いことを生かして、男性しか入れないケアを積極的に引き受けるなど、売上向上にもつながっていますね」

また、将来を堅実に考えている人材とも相性が良いと木内さんは言い切ります。

「将来安定して長くキャリアを築いていける部分に魅力を感じてくださる方が多いですね。直近の年収だけで考えたら、施設で夜勤シフトをたくさんこなす方が高くなることもあります。しかし夜勤がなく日勤帯で働ける点や、1対1でしっかりケアに集中できる点が、ケアリッツの訪問介護で働く魅力です。ケアリッツで正社員に応募される方は、将来長い目でキャリアプランを立てて、ワークライフバランスも整えていきたいという方が多いですね」

未経験から入社し、今はサービス提供責任者として最前線で活躍している工藤さんも、頷きながら言います。

「元々は全く別の仕事をしていました。その後、ケアリッツのスクールに通って資格を取り、そのまま入社するとキャッシュバックという制度を活用して入社。将来は違う職種も考えていたんですが、実際に働き始め、介護福祉士も取ると予想以上に評価していただけて。自分もやってて楽しかったんです。

こんなに楽しくやれてお金までもらっちゃっていいの?という感じでしたね。プライベートな趣味も応援してくれるような恵まれた環境だったので、特に嫌なこともなく、気付いたらもう10年が経っていますね」

採用・育成コストは惜しまない

採用戦略については、基本的に採用コストは惜しまない考え方。採用媒体の活用はもちろん、15社以上の紹介会社と日常的にやり取り。最近は、新卒のイベントや、Web広告も積極的に活用していると太原さんはいいます。

「企業体力がなかった頃は採用単価もシビアにコントロールしていたんですが、会社の成長に伴ってより採用数・採用スピードを重視する戦略へと変わってきました。採用単価について今では細かくコントロールはせず、採用効率の目安として把握するような形です。」

新卒の選考フローについて、木内さんはこう話します。

「新卒選考では、説明会の段階からコース別に開催しています。そこで選考に進みたいかアンケートを取り、1次面接〜3次面接に進んでいただきます。1次面接は人事スタッフが気軽に相談できるリクルーターとして担当し、最終まで伴走します。

2次面接は、新卒入社の現場のスタッフに人となりや現場でやっていけるかを判断してもらいます。最終の3次面接は、ブロックマネージャー以上が、本当に一緒に働けるかどうかを見極めていきます」

一方、中途採用においては迅速な対応が肝心だと木内さん。

「基本的に書類選考はなく、興味を持って応募してきてくださった方とは、まず一度お話をしてそのまま選考に進んでもらうことが多いですね。他社さんは一発内定もあるので、中途はとにかくスピード勝負なんです」

中途入社者は、介護経験の有無や個別面談などから、それぞれの能力や意思を確認してスタート位置を決めていきます。

未経験の方向けには、資格を取得してもらうため、自社スクールを開講して、学びの場を提供しています。

必要なスキルを徹底的に言語化すると、客観的な評価ができる

介護業界ではめずらしく、マネジメント人材育成にも力を入れている同社。成長のため必要なスキルを明確にすることで、スピード感を持って集中的に育成した結果、今や事業所管理者の49%が新卒入社という驚きの数字となっています。

その育成フローでは、臨機応変にチャレンジできる環境が整っています。

「入社後2週間の実務研修を経て、早くて2~3回の同行で、1人で行ける現場も出てきます。そうして現場の実務経験を積んだ後、2年目で管理者に引き上げて、マネジメント経験を積んでもらいます。どうしても2年目では厳しい場合は、本人と相談し一旦スタッフに戻って働いてもらい、再チャレンジしてもらいます」

また、管理職になるためのスキルも明確に提示しているため、評価基準もわかりやすくなっていると、木内さんは続けます。

「マネジメントコースの新卒入社の社員には、マネジメント研修として、事故やクレームへの対応方法など、現場でのサービス提供からは習得できない部分を学ぶ研修を実施しています。何ができるようになると管理者になれるか、60項目くらいあるシートで、各自の履修度合いを月1回振り返ってもらっています」

賞与で頑張りを反映しているほか、評価方法についても工夫があると太原さんは語ります。

「評価は、全社員に対して年2回評価面談を行います。一方的な評価ではなく、本人の振り返りや直属の上司・さらにその上司との話し合いから、双方納得行く評価をしていきます。査定は、事業所内での行動や稼働などを元に決まります。

お客様からNGが出てしまうと稼働も増えませんから、サービスの質も自然と評価されていることになりますね。管理者は、事業所の売上も評価されますが、書類整備やスタッフ管理なども重要なので、期待されるのはバランスです」

集中して効率的に働きやすい環境に

社員を守る働きやすさという面でも、設立当初から比べると、業務時間管理や福利厚生は大幅に改善してきました。太原さんはワークライフバランスにも注力していると語ります。

「売上の一部を失うリスクをとってでも、社員のワークライフバランスを守るため、ケアは夜7時までと明確に区切っています。IT化を推進して、アプリでスケジュールをタイムリーに伝達・管理できたり、コールセンターを設置し事業所が全員外出している場合、電話対応ができるようにしたので、事務作業はぐんと減りました」

工藤さんも、働きやすさには太鼓判を押します。

「服装が自由なことは大きな決め手でした。自分らしく働きたいという思いを叶えられています。あとは直行直帰OKや、電動自転車を1人1台貸与してくれるのも嬉しいですね」

近年では、妊娠しても働き続けられる環境作りにも取り組んでいると太原さん。

「規模がある程度大きくなってきたので、選択肢も広がりました。妊婦さんには事業所で書類作業のサポートしてもらう道と、近隣のデイサービスでケアをしてもらう道、コールセンターで働いてもらう道などを用意しています」

採用と働きやすい組織作りの両面から、求職者にとって魅力的な会社になるため、日々取り組みを行っているケアリッツ。今後もその動向に注目していきたいですね。

写真撮影:近藤浩紀

この記事を書いた人

おしたに ゆきな

1995年、大阪府生まれ。大阪大学外国語学部卒。大手メーカーの人事として5年間勤務。国家資格キャリアコンサルタント取得をきっかけに、自分のキャリアと向き合い会社を退職。2023年から主にHR・キャリア分野でライター、コピーライターとして活動中。書道師範でもあり、Podcastアートワークなどを手がける。