意外と簡単に始められるかも。インフルエンサーが推すショート動画活用術
2023/08/29

文章や写真だけでは、求職者に魅力が伝わらない──。
近年では、ショート動画を活用して介護・福祉業界の魅力を伝えようとする動きが広がっています。とはいえ、「どうやって動画を作るのか」「発信を続けられる自信がない……」など、ハードルがあることも事実です。
そこで今回は、介護業界で発信を続けるインフルエンサーのはたつんさんとガップリンさんに、ショート動画ならではの魅力的なコンテンツづくりや発信のコツについてお話を伺いました。
お二人はYouTubeやTikTokで、介護現場のリアルや仕事の魅力、職員の想いを発信し、若い世代を中心に多くの共感を集めています。ぜひ一緒に、心に響くショート動画づくりのポイントを学んでいきましょう。

【ゲスト】
はたつん
音楽活動を行いながら、地域密着型通所介護施設に勤務。介護ヘルパー2級取得に加え、独学で介護福祉士国家資格試験に合格している。現在、YouTubeチャンネル登録数は3.5万人。TikTokの総再生回数は1,000 万回を超えている。
YouTube:はたつん介護士
TikTok:@hatatsun_0w0

ガップリン
介護老人保健施設、有料老人ホーム、デイサービスなどで約8年間、介護の仕事に携わる。現在は介護士TikTokerとして、介護を明るく開けたイメージにすべく動画発信を行なっている。現在のTikTokのフォロワー数は6.5万人。
YouTube:ガップリン🍎🍮介護士
TikTok:@g_apprin
「共感を生むコンテンツ」を考える前に

「介護職のリアル」を発信し続けているはたつんさん。SNSでは「共感しました」「分かる!」といったコメントが数多く寄せられています。
はたつんさんは、求職者向けのコンテンツは「どうすれば共感してもらえるかでなく、一緒に働いている仲間が何を求めているのかをまず知るべきだ」と話します。
例えば、最新の介護機器を導入した事業所は、確かに利用者にとって魅力的でしょう。しかし、求職者や社員も同様に「刺さる」とは限りません。発信しようとしている魅力が、誰にとっての魅力かを冷静に見極めることが大切です。
「誰に」を明確にすることは、コンテンツを作る上での指針にもなります。はたつんさんの場合は「介護職の気持ち」にフォーカスしているので、介護士の嬉しいこと、悲しいこと、悩みなどがコンテンツ制作の源になっているそうです。
求職者がターゲットなら、まずは現場の職員の本音に目を向けること。それが、共感を生むコンテンツづくりの第一歩になるはずです。
コンテンツは毎日発信しよう

数多くの事業所を訪問し、魅力を発信している介護士TikTokerのガップリンさん。「SNSにはライバルも多い。更新を中断するとファンが離れてしまう」と情報発信の難しさを語ります。
ガップリンさんは毎日更新を推奨していますが、そこにはライバル対策だけでなく、意外なメリットもあるそうです。
それは、「単純接触効果」。同じ情報に繰り返し接したユーザーは、情報の発信者に対して好意的な反応を示すようになるのです。
毎日情報を発信することで、
「面白そうな職場だな」
「こんな人がいるなら楽しそう」
「機会があったら働いてみたいな」
といったイメージを醸成することができます。
そのために必要なのは、凝ったコンテンツではありません。利用者との会話や、休憩中の社員の雰囲気など、動画だからこそ伝えられる情報を、積極的に発信していくことが重要です。職場の様子を伝える発信は、求職者にとって「職場見学の代わり」になる効果も期待できます。
ショート動画のポテンシャルとは?

若い世代を中心に、人気を集めているショート動画。ガップリンさんは、ショート動画を「テレビのチャンネルを次々に切り替えるザッピングと同じ」とたとえます。
テレビをザッピングしていると、予期せぬ面白い番組に出会うことがあります。それと同様に、ショート動画のプラットフォームでは、介護に関心のなかった方が、介護の魅力を伝えるコンテンツに出会うこともあるといいます。
はたつんさんも、「介護業界への就職を選択肢に入れていない方が、『意外と楽しそう』と興味を持ってくださることがある」と強調します。
ショート動画は「偶然の出会い」から介護の魅力を届ける強力なきっかけになります。特に若い世代にとっては、検索よりSNSで情報を得るのが当たり前の時代。今や、ショート動画は介護業界を知ってもらうための大切な“入り口”となっています。
求職者に届くショート動画制作の方法、コツ

では、どのようにして魅力的なショート動画を作っていくのでしょうか。
より共感を引き出す動画を作るためには、守るべきポイントとコツがあります。はたつんさんとガップリンさんが、普段意識している点や、おすすめの動画編集アプリ、動画制作のコツなど5つの心得を紹介してくれました。
(1)CapCutをうまく活用!
動画編集アプリの「CapCut」は、誰でも簡単に使えるおすすめのアプリです。注意点として、デフォルトで動画終わりに2秒ほどのCapCutのプロモーションが入るため、公開の際は絶対にカットしましょう。
(2)ショート動画の長さは12〜25秒
ユーザーが集中力を保てる時間は長くても25秒。30秒を超えると飽きられてしまいます。
(3)コンテンツ制作は「結論」「間」を意識
最初の1〜2秒で「一番言いたいこと」を伝えましょう。また、間延びしないように、「間」は細かくカットすることが重要です。
(4)タグを多くつけない
ついタグを多くつけて拡散を狙ってしまいますが、「#介護、#介護士、#大阪」程度に留めておくのがポイント。エリア情報はタグに入れた方が効果があるといいます。
(5)他SNSの紹介は注意
例えば、TikTokで”Youtube”、”Instagram”など他のSNSでの紹介が入ると伸びづらくなるので、YouTube→ようつべ、Instagram→INスタ、といった表記に変えましょう。(※各SNSで公式発表されている事項ではありません)
ショート動画は、共通して縦長という特徴があります。つまり、ひとつのショート動画を作れば、YouTube、TikTok、Instagramのリール動画、Facebook、LINEのVOOMなど、同じ縦型の動画配信サイトでも配信することができます。
Instagramのリール動画を日常的に見ている方が、TikTokのショート動画を見ているとは限らないので、動画は複数のSNSで紹介し、より多くの人にリーチするチャンスを増やすことを意識しましょう。
みんなで介護業界を盛り上げよう〜コラボのすすめ〜
介護業界をもっと盛り上げるためには、インフルエンサーなどとの“コラボ”も大切な手段のひとつです。はたつんさんは「『自分たちだけでできる』という内向き志向はもったいない」と話し、YouTubeやTikTokでのインフルエンサーとの積極的なコラボの効果を語ります。
インフルエンサーは、情報発信のプロフェッショナル。「どうすれば面白いコンテンツを作れるか」というノウハウから、「炎上を避ける」ためのリスクヘッジ策まで、豊富な経験を有しています。
得意なことは、得意な人に任せてみる。
施設内でのお祭りやイベントなど、世間の注目を集めやすいタイミングに協力を仰げば、SNSを通じて大きな波及効果を生むことも可能です。「僕たちも介護業界を盛り上げたい。ぜひ気軽に頼ってほしい」と、ガップリンさんも呼びかけています。
SNSを適切に活用するためには、写真や動画の撮影・投稿にあたっての配慮も欠かせません。被写体の権利を侵害していないか、トラブルを未然に防げているかを、投稿前にしっかり確認する必要があります。
Blanketでは、介護事業者向けのご利用者用と従業員用の「写真・動画撮影同意書」を専門家協力のもと作成し、無料で配布しています。コンテンツ発信を安心・安全に行うために、ぜひご活用ください。
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この記事を書いた人

堀聡太
株式会社TOITOITOの代表、編集&執筆の仕事がメインです。ボーヴォワール『老い』を読んで、高齢社会や介護が“自分ごと”になりました。全国各地の実践を、皆さんに広く深く届けていきたいです。