欲しい人材に出会えるペルソナ設計とは|介護・福祉の新卒採用Vol.3

2025/03/04

第1回は新卒採用について、第2回は新卒採用の採用設計についてご紹介ました。第3回でご紹介するのはペルソナ設計です。新卒採用活動を進める中で、「なかなか理想の人材が集まらない」「採用活動をしているのにマッチする学生が応募してこない」と悩んでいる法人は少なくありません。そんな課題を解決するために重要なのがペルソナ設計です。今回は、ペルソナ設計について詳しく解説します!

【 介護・福祉業界のゼロから始める新卒採用 】

vol.1 新卒採用をするメリット・デメリット
vol.2 学生から選ばれる採用戦略と成功事例を解説!

ペルソナとは?

ペルソナとは、もともとラテン語で「人格」を意味する言葉で、ビジネスにおいてはマーケティングの分野で用いられ、商品やサービスの典型的なターゲット像を具体的に設定する手法を指します。年齢、性別、住んでいる地域、趣味、行動パターンなどを細かく定め、「ユーザーがどのような考え方を持ち、どのように行動するのか」を明確にイメージできることを目的としています。ペルソナに合わせて商品・サービスの開発PRの手法を考えることを「ペルソナマーケティング」といいます。

採用においてのペルソナの意味は?

採用においてのペルソナとは、「採用したい人物像」を指します。採用したい人物の性格や趣味、経歴、行動習慣、どのように就職活動をしているのか、情報収集の方法は何か、就職先に期待することは何か、といったことを設定します。単に「このような人」とイメージで想定することにとどめず、具体的な思考や行動までシミュレーションし、細かく規定していくことが、ペルソナの特徴です。

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採用活動においてペルソナがなぜ重要なのか

それではなぜペルソナは必要なのでしょうか。一つひとつ見ていきましょう。

採用に関わる社員全員が共通認識をもって採用ができる

ペルソナを設定することで、社内の目線合わせができます。採用したい人物像を決める際、「コミュニケーション能力が高い人」「優しい人」など、抽象的な言葉で定義をしている法人が多いですが、これらの言葉は人によって感じ方や捉え方が異なりやすいものです。

例えば、「優しい人」という言葉から「笑顔で利用者の話をしっかり聞いて、要望になんでも応える人」と想像する人もいれば、「利用者のことを考え、遠くから見守ることができる人」を想像する人もいます。

このように、人によって捉え方が異なる定義だと、担当者によって採用基準にばらつきが出てしまい、結果として本当に欲しかった人物を採用できないことが起こってしまうかもしれません…。具体的にペルソナを決めれば、どんな人が見てもある程度同じ人物像を想像でき、法人内で共通認識を持って採用活動を行うことができます。本当に採用したい人材の取りこぼしを少なくすることも可能です。

入社してほしい学生層の採用に繋がる

採用広報において「自社の強みをどのように伝えたら良いのか」と考えることが欠かせませんが、「誰に伝えたいのか」も同じくらい重要です。しかし、この「誰」が欠けてしまうことが多々あります。 「誰」の視点が欠けていると、いくら自社の強みをPRしても、PR内容があいまいになり、誰にも響かない内容になってしまいます。その結果、応募に繋がらず、欲しい人物とは異なる学生の応募が増え、採用に至らなかったということも起こりがちです。

ペルソナ設定で「ターゲットの関心ごとは何か?」「自社の魅力の中で、どの部分を強調すべきか?」を具体的に考えると、PR方法も、より鮮明にイメージする事ができます。ペルソナを軸に考えたメッセージを発信すれば、採用したい人材の採用に繋がってゆきます。

例えば、「介護・福祉業界でどんな人を採用したいですか?」と聞くと、「コミュニケーション力が高い人」「素直な人」「優しい人」「健康で体が動ける人なら誰でもOK」という回答がよく返ってきます。

しかし、これらの基準は漠然としており、人によって解釈が異なります。そのため、メッセージがターゲットに届きにくくなります。

そこで、ペルソナを具体的に設定し、採用したい学生の関心や価値観に合わせた発信を行うことで、「この会社で働きたい!」と思ってもらえる確率が大幅に上がります。

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ペルソナを設定するメリット

最後に、ペルソナを設定することで、経営や組織にどのようなメリットが生じるのかについてご紹介します。

経営層と現場の認識のズレを防ぐ

採用活動において、「経営層と現場の求める人物像が違う」という問題は珍しくありません。

経営層:「1人でガツガツ進めてくれるようなスタンドプレーヤーが欲しい」
現場:「チームケアを大切にするため協調性のある人が欲しい」

このように、求める人材が一致していないと、採用後にミスマッチが発生しやすくなります。ペルソナ設計を行うことで、経営層と現場の意見をすり合わせ、組織全体で納得感のある採用基準を持つことができます。

採用活動の効率化ができる

新卒採用はコストがかかることに加え、担当者は兼務している可能性があります。また、採用活動は少人数でまかなっている場合が多くあります。そのため、効率的な活動が求められます。

ペルソナを設定すれば、以下のように採用活動の方向性を絞ることができます。

  • 適切な採用媒体を選定
  • 実行施策の検討
  • 学生に会わせる社員の選定

このように、ペルソナ設計をすることで、限られたリソースの中で、効率的に採用効活動を行うことが可能です。

将来の法人像を考えるきっかけになる

ペルソナを設計する際には、現在の採用課題だけでなく、「将来の組織をどう成長させていくか?」 という視点も重要です。新卒採用は、組織の将来をつくっていく役割もあります。そして、その育成には時間がかかります。現状の採用したい人物像を考えると同時に、「中長期的な組織経営のためにどんな人材が欲しいのか」という視点で経営者と話し合い、その内容をペルソナ設計に落とし込んでいくことをおすすめします。

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まとめ

介護・福祉業界の新卒採用において、「誰でもいいから採用する」というアプローチでは、理想の人材を獲得することは難しくなります。

そのため、求める人材像(ペルソナ)を明確にすることが、成功する採用戦略の鍵となります。

採用活動に一貫性を持たせることによって届けたいターゲット層に届くため、欲しい学生が入社します。それと同時に、入社後のミスマッチを防ぐことができます。このように、ペルソナ設計は採用活動を具体化していく中で欠かせないものなのです。

ペルソナ設計を取り入れ、戦略的な新卒採用を進めていきましょう!

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【この記事を書いた人】

松川 由佳 株式会社Blanket 採用コンサルタント

介護の人材不足の現状を目の当たりにし介護事業会社に入社。全国の新卒(大卒・専門卒・高卒合わせて)年間約100名超の採用活動に従事。採用設計からイベント・入社関係、新卒の採用全般を担当。沢山の人に介護の魅力や、素晴らしさを届け、業界全体が素敵な法人で溢れるように組織・人材開発のお手伝いをしたいと思い株式会社Blanketに入社。入社後は法人の採用支援、法人・行政の介護・福祉のお仕事PRを中心に担当。