介護・福祉事業者が採用を成功させるための“第一歩”とは?(介護の人事教室その1)

2024/07/31

介護・福祉業界の採用・人事支援を行うBlanketのコンサルタントが、介護・福祉事業者の皆さんへ採用・組織づくりにまつわるヒントをお届けします。

第一回は、介護・福祉事業所の多くが直面する人材確保の難しさと、採用成功のための“第一歩”をご紹介します。

介護・福祉業界の採用環境は困難だらけ!

有効求人倍率の推移のグラフ(介護サービス、全職業平均)

近年、介護業界をはじめ、多くの業界で人材不足が深刻化しています。特に介護・福祉業界では、有効求人倍率が他の産業よりも高く、新型コロナウイルスの影響が少なくなったここ1年では、3倍以上の高い水準を維持しており、求職者に対して求人数が圧倒的に多い状況です。

なぜ介護業界の採用が難しいのか?

介護・福祉業界の採用が難しい理由は、主に外的要因と内的要因に分けて考えることができます。

  1. 外的要因: そもそも多くの業界で採用が活発で、競争が激しい。
    全産業的に人材不足が深刻化しており、介護業界もその影響を受けています。求職者にとって選択肢が増えているため、介護業界への応募が減少しています。
  2. 内的要因:待遇・環境面で競争力が弱い。採用に力を割けない事業者も多い。
    介護業界は、給与水準や労働環境が他の業界に比べて改善が遅れているという課題を抱えています。また、中小事業者が多いため、大規模な採用活動を行えないケースも少なくありません。

このような状況の中で、介護・福祉事業者が採用活動を成功させるためには、計画的・戦略的な取り組みが不可欠です。

自組織の課題を考えよう!

では、計画的・戦略的に採用活動を考えるとは、どういったことなのでしょうか?

色々と考えるべきポイントはありますが、まずは「自組織の採用がなぜうまくいかないのか?」という点について、分解・深掘りをして考えることが重要です。

「採用が上手くいかない」という大きな課題のカタマリで考えていると、どこから手をつけてよいのかが分からず、結果的に成功に導くアクションにつながらないことも多くあります。一口に「採用が上手くいかない」といっても、そこには様々な要因があり、その要因が時に複雑に絡み合っています。

例えば…。

  • 応募数が少ない: 求人広告の掲載方法やターゲット層の設定に課題がある可能性あり。
  • 内定辞退が多い: 採用選考のプロセスや選考時の関わりに課題がある可能性あり。
  • 定着率が低い: 職場環境や働き方、教育制度に問題がある可能性あり。

このように、それぞれの課題に対して、具体的な対策を立てる必要があります。

適切な打ち手を考えるためには、まずは自組織の現在の状況・課題を把握することが重要です。みなさんの上記のチャートも用いながら、自組織がアプローチすべき採用活動の課題や不足点を探してみましょう。

ポイントは、「『採用活動が上手くいかない』という大きなカタマリを分解して考える」です!

まとめ

介護・福祉業界の採用活動は決して容易ではありません。しかし、計画的な取り組みを行い、課題解決のためのアクションを進めることで、成果を出すことは可能です。次回の記事では、「採用ターゲットの設定」について詳しく解説していきます。

採用が苦戦する中で、「誰でもいいから…」と来るもの拒まずな採用活動になっていませんか?

もしかすると、その視点が採用苦戦の要因かもしれません。次回をお楽しみに!

この記事を書いた人

野沢 悠介

株式会社Blanket取締役/人事コンサルタント

立教大学コミュニティ福祉学部卒。介護事業会社で、採用担当・新卒採用チームリー ダー・人財開発部長などを担当後、2017年より現職。介護・福祉領域の人材採用・人材開発を専門とし、介護・福祉事業者の採用・人事支援コンサルティングや、採用力向上のためのプログラム開発、研修講師などを中心に「いきいき働くことができる職場づくり」を進める。