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コロナ・ショックで急速に冷え込む雇用市場と、「売り手市場」の続く介護業界(withコロナ時代の介護・福祉事業者の人事戦略④)

2020/07/31

■急速に冷え込む雇用市場

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雇用動向を示す重要指標である有効求人倍率(1名の求職者に対し、どのくらいの求人数があるかを示す指数)や失業率の2020年6月分の数値が発表されました。

2020年6月の有効求人倍率は、1.11倍と先月より-0.09ポイント下落しました。前年同月比では、0.5ポイントのマイナスです。この数値は2014年11月以来の低水準となっています。

一方、完全失業率は2.8%と前月の2.9%よりやや改善しましたが、コロナ・ショック前よりも高い水準が続いています。

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上のグラフは、3か月ごとの有効求人倍率・失業率の推移を示したものです。

元々、2010年代以降は景気回復と共に、企業の採用活動は活発になり、緩やかに有効求人倍率は上昇・失業率は減少傾向になっていました。求職者側に有利ないわゆる「売り手市場」傾向となっていたと言えます。

しかし、コロナウイルス感染拡大の影響が出始めた2020年には、有効求人倍率は急下降・失業いつも急上昇に転じ、経済活動へのダメージが雇用市場にも影響を与えていることが分かります。

■介護業界の有効求人倍率は依然高止まり

では、介護業界の採用市場はどのような変化があるのでしょうか?

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こちらのグラフでは、全産業平均の有効求人倍率と、介護サービス業の有効求人倍率の推移を表しています。

介護サービス業の有効求人倍率は、4.04で前年同月比よりは0.15ポイント低いものの、他の業種ほどの急激な下落は起きておらず、依然として一名の求職者に4件以上の求人がある「売り手市場」が続いていることが分かります。

以前に、新型コロナウイルスによる雇用市場の変化は、介護・福祉業界の採用の「追い風」になるか?というテーマで検証もしましたが、雇用の冷え込みが直ちに介護業界への人材流入につながっている訳ではなさそうです。

上記のグラフは、リーマン・ショック直後と現在のコロナ・ショックの最中の有効求人倍率の推移です。

リーマン・ショック時には「介護サービス」という区分での統計がなく、正確な比較はできませんが介護を含む「社会福祉専門の職業」の有効求人倍率は、全産業平均の連動とほぼ同じ形で減少をし、08年12月から09年4月の5か月で約半減しています。この時期はちょうど「年越し派遣村」など職を失った方の支援が注目を浴びたように、失業率も大きく悪化していた時期でした。雇用の受け皿として、福祉業界が機能していたことがうかがえます。

一方で、現在の状況としては、有効求人倍率の低下、失業率の上昇は起きているものの、介護サービスの有効求人倍率は、それらと連動することなく、高水準を維持しています。7月以降の状況では変化が見られるかもしれませんが、現時点では介護業界に人材の流入は大きく起こってはいないのではないかと推測されます。

リーマン・ショックと比較をされることも多いコロナ・ショックですが、介護業界の雇用動向を考えると、当時以上に市場規模は拡大し、人材不足感は強まっています。介護業界全体でみると、人材の流入の効果はリーマン・ショックほどではなく、限定的になるのではないかと思います。

一方で、以前の記事でも述べたように、コロナ・ショックで雇用市場が不安定になることで、安定した雇用が見込める介護・福祉業界へ注目する求職者は必ず存在します。採用活動を戦略的・積極的に展開をする事業者では、今回の市場の変動に合わせ、よい人材を確保するチャンスは大いにあると言えます。

介護・福祉事業者の皆様においては、ぜひ、今一度採用活動を見つめなおし、自社にマッチした人材採用につながる戦略的な採用活動を進めていただきたいと思います。
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【この記事を書いた人】

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野沢 悠介 株式会社Blanket取締役

1983年生まれ。東京都出身。立教大学コミュニティ福祉学部卒。ワークショップデザイナー。2006年株式会社ベネッセスタイルケアに新卒入社し、採用担当・新卒採用チームリーダー・人財開発部長などを担当。介護・福祉領域の人材採用・人材開発が専門。2017年に参加して株式会社Join for Kaigo(現 Blanket)取締役に就任。介護・福祉事業者の採用・人事支援や、採用力向上のためのプログラム開発などを中心に「いきいき働くことができる職場づくり」を進める。